テレビの画面に映るのは、煌びやかな美術館の展示室の中で取材を受ける来場者たち。

その横には、見慣れた彫刻が並んでおり、どれも人々の注目を集めている。

インタビューに答える女性の顔が映し出される。彼女は目を輝かせ、言葉に力を込めて語り始めた。

「本当に驚きました。あの彫刻の目は、まるで生きているかのようで…見るたびに、何かを感じるんです。

九条さんのことは今回初めて知ったんですけど、今ではもう、その美しさに圧倒されているというか…。

それに、あの空間の中にいると、何か特別なエネルギーを感じるんですよ。」

次に映し出されるのは、少し顔色が優れない男性だ。彼は手で額を拭いながら、視線をうろうろと彷徨わせている。

「作品の美しさと禍々しさに圧倒されました。

正直、ちょっと気分が悪くなってきたんですよ…頭が痛くて、吐き気もして。人が多かったからかなと思ったんですけど…。」

「一つ一つの作品が、何かを語りかけているように感じます。

九条さんの作品には、死というテーマが内包されていると聞いていましたが、その中に美しさが混ざり合っているのが不思議で、感動を覚えました。」

画面は切り替わり、再びスタジオのキャスターたちが映し出される。

彼らの前には、優雅に整えられたデスクがある。キャスターの一人、静かな表情でカメラを見つめながら口を開く。

「九条朔夜さんの今後に期待が高まりますね」

隣のキャスターが少し首を傾げ、眉をひそめる。

「確かに、九条さんの作品には強烈な引力があります。

今まで大きな話題になることはありませんでしたが、昔からの根強いファンが多いそうですね」

もう一人のキャスターがうなずきながら続ける。

「さて、次の話題に移りましょう。続いては、最近注目を集めている社会問題についての特集です…。」

画面がゆっくりと切り替わり、次のニュースが始まる準備を整える。

九条朔夜の展示会の話題は一旦幕を閉じ、その余韻がまだスタジオの空気に残る中、視聴者の関心は次第に新たな問題へと移っていく。