録音日時:2025年2月15日 夜間

場所:展示会終了後の控室にて

九条朔夜展を訪れた男性(30代)が、展示会から数時間後に錯乱状態となり、意味不明な言葉を羅列し始めた。

この記録は、展示会関係者の一人がスマートフォンで撮影したものであり、後に解析された際、奇妙な一致が確認された。以下は録音の内容を文字起こししたものである。



男性(荒い息):「水が、ああ、水が全部飲み込んでいく……逃げても無駄だ。無駄なんだよ!でも僕は知ってた、ずっと知ってたんだ。あれは嘘だ、嘘だってわかってたんだよ!」

彼の声は震え、時折笑い声ともすすり泣きともつかない音が混じる。その目は焦点を失い、何か遠くを見つめているようだった。

男性:「瓦礫の下にいたんだ、みんな死んでた。僕も死んでた……でもね、死んでるのに生きてるんだ。

おかしいよな?おかしいだろう!でもそれが正しいんだ。『自分でなんとかしろ』って……だから僕、僕……」

突然彼は手を振り回し、椅子から転げ落ちた。その後、壁に体を押し付けるようにしながら、震えた声で続けた。

男性:「赤い花をくれたんだよ。『これが友達の証だよ』って……どうしてだ?どうして僕は受け取ったんだ?」

ここで、彼の声は急に低くなり、呟くような調子に変わった。

男性:「水が冷たい。冷たいけど燃えてる。燃えてるけど冷たいんだ……あれは僕の家族の匂いだ。塩の匂い。

違う、違う、あれは海だ……瓦礫の下で、僕は目を開けたんだ。でも何も見えない。何も、何も……」

急に彼は目を見開き、まるで何かを悟ったように叫んだ。

男性:「そうだ!僕は花だ。赤い花だ。咲いてるけど死んでるんだ。

死んでるけど咲いてる!僕は彼だ!彼は僕だ!……九条さんが言った。『全てはひとつだ』って……全部、全部繋がってるんだよ!」

彼はその後、自分の頭を壁に打ち付けるような動きを繰り返し、スタッフによって抑えられた。