白石は、眞藤とのインタビューの後に、ある確信を得ていた。

九条の過去作品の中に、気になる名前の作品がある。

「亡き友」――その名の響きが、白石の心に何かを呼び覚ました。

篠宮悠生の死が、九条の彫刻家としての原点であったことを知っていた白石は、この作品が持つ重要性を感じ取らずにはいられなかった。

九条はその作品について、何も語ることなく、あたかもそれを隠すかのように扱っていた。

「展示されていないということは、何かしらの意図があったに違いない。」

白石はその作品の存在がただの過去の一ページに過ぎないとは思えなかった。

篠宮悠生の死を表現したその彫刻が、九条の内面でどれほど深い意味を持っているのか。

それを解き明かすことが、九条が抱える苦しみやその彫刻がもたらした創作への影響を明らかにする鍵になるだろうと、白石は確信していた。

「一度も公にされなかったその理由、そして九条が今も抱えている感情――それを引き出すことができれば、彼の作品に込められた真の意味を掴めるはずだ。」

白石は次第に、次の一歩を踏み出す覚悟を決めていった。