来週、親の転勤で貴女は遠い地へ引っ越してしまうらしい。子どもの私にとって、気軽に会える距離じゃない。私のこと忘れないでね、と懇願すると、どうだろう、と貴女は困ったように笑う。たまらなくなった私は、道具袋からコンパスを手に取って、貴女の腕に自分の名前を書く。深い傷にならないように。