これは、ある博士が遺したムジーク研究のレポートです。

ムジーク……。女神の授けた祝福と人々に畏れられるその力は、宿したものに人智を超えた事さえも可能にさせる。
しかし悪用の危険や『赤い羊』事件などの様々な事情でその研究はあまり進まず、未だに謎は多い。
その中で私が監視の目を何とかかいくぐって調べた、ムジークについて現段階で分かった事をここに記しておこうと思う。



ムジーク……特定の人間にのみ使用出来る超能力。何故か全て音楽に関するもの。存在が初めて記録されているのは、約750年前のとある歴史書だが、それ以前からあったの可能性があり、詳細は不明。
個人が宿せるムジークの限界は、基本的に一人ひとつまでだが、極めて稀に複数のムジークを使用出来る赤子が産まれることがある。しかし、奇妙なことにどんなに恵まれた環境で育っても、彼らの多くは5歳になるまでに衰弱死してしまう。
その為、私はムジークを宿すこと、それを使うことは、人体にとてつもない負担をかけているのではないかと推測している。
発動条件は、主に3つ。
  ①生まれつき扱える……このパターンが最も多い。又、ムジーク使いの子は似た特
徴のムジークを宿して産まれるので、基本遺伝性であると思われる。
  ②成長してから発動する…例えば事故に遭いかけるなど、本人の生命危機に瀕した場合、無能力でもいきなりムジークが覚醒する事がある。しかしながら、そのコントロールが上手く出来ず、誤って自分や他人を攻撃してしまう事が良くある。
   ③DNA変格剤を使う…。身体に入れるだけでムジークを宿せる薬品。その製造方法は…。……。
私でさえも吐き気を催す程、生命倫理に反するので…。ここでの記述は避けておく。
DNA復元剤で元には戻せるが、しかし…。


ムジークの種類について…………
  ムジークには、自分の意思を持つものもある。その性格は使い手の精神性に影響を受けている。
だが、使い手の精神力が弱いと使うどころか逆に人格がムジークに侵食される為、発動したら、マインドをとにかく保たなければならない。


ムジーク使いの戦闘……
   ムジークが相手からの攻撃などで負傷した場合、ムジーク使いも同等のダメージを喰らう。逆も同様。
基本的に主人のムジーク使いが死んだら、そのムジークは消滅してしまう。





最後に、私が提唱するムジークの危険性について








彼のレポートは、ここで終わりました。