一気に体が鉛のように重くなったが、それでもなんとかバス停に辿り着いて、路線図に視線を這わせた。
 すると、探していたものが見つかった。
 夢叶愛結町。
 見たことも聞いたこともない地名だった。
 何処にあるのかまったくわからなかったし、読み方さえわからなかった。
 狐につままれたような気持ちになった。
 
 次のバスは? 
 
 1時間後だった。
 一瞬それに乗ろうかと思ったが、諦めた。
 彼女がどこで降りたのかわからないのに、乗っても仕方がないからだ。
 それでも、しばらくその地名を見続けた。
 すると何故か「夢が叶って愛が結ばれる町か~」と声が出たが、自分には関係がないような気がして、見るのを止めた。
 そして、バス停をあとにした。