「わかった。わたしが悪かった。君の言うことを信用する。でも念には念を入れたい。だからこうしようと思う。手の甲が掌に裏返った瞬間、ピンヒールで踏みつけることにする。それでいいか?」

 すると、紳士靴は安堵の息を吐いて頷いた。

 頷き返したわたしは、大きく揺れるカーブが来るのを待った。
 揺れ初めにピンヒールを持ち上げて、手の甲が掌に裏返った瞬間、思い切り踏みつけるのだ。
 神経を研ぎ澄ませてその時を待った。
 
「そろそろだ」

 もうすぐカーブに差し掛かるから油断するな、と紳士靴が注意を促した。
 すると、カーブが近づくのを待っていたかのように男の右手が鞄の持ち手から離れた。
 そして、手の甲をピッタリとご主人のお尻に押し付けた。