👢 2 👢

 目が覚めると、まだ暗かった。
 というより、真っ暗だった。
 
 夜中? 

 周りを見回したが、暗くてよく見えなかった。
 とその時、人の声が聞こえた。
 
 えっ? 
 人の声? 
 なんで? 
 
 一人住まいのわたしは、身を固くして耳を澄ました。
 すると、階段を上がっていくような音が聞こえた。
 
 階段? 
 
 そんなはずはない。わたしが住むマンションはすべてワンルームで、室内に階段はないのだ。
 
 何処だ、ここは……、

 恐怖で身がすくんだ。
 動けないまま、暗闇の中でじっとしているしかなかった。
 
 それでも、しばらくすると、暗さに目が慣れてきた。

 ん?

 んん?

 んんん?

 どういうことだ? 

 左にも右にも靴が見える。
 それに、靴のニオイが充満してる。
 
 もしかして、
 靴箱か? 

 えっ?

 ええっ?

 えええっ?

 なんで、わたしが?
 
 気絶しそうになって、ふ~っと意識が遠のきかけた。
 しかしその時、いきなり光が差し込んできた。
 誰かが靴箱を開けたのだ。
 
 ……?