四方の壁をなめるようにする火。

 あまりの暑さに白装束は汗で湿っていきます。

 まるで、火の檻に捕らわれたもう飛ぶことができない鳥のようです。


 「どうして......?」


 炎に聞いても当然のことながら答えは教えてくれません。

 普段は暖かく照らしてくれる火は凶器となってわたくしを襲い掛かって来ます。

 (神様、わたくしを極楽浄土へと導きくださいませ......)

 わたくしが愛する者を焼いた業火に包まれると同時に暗黒の世界へとわたくしは足をいれました。