真夜中のご馳走の後。
待ち受けているのはお風呂タイム……ではなく。
「待ってました~! 食後のティータイム~!」
ご馳走会第二部のティータイムが始まった。
「待ってたのはお茶よりもケーキでしょ」
「そうとも言う」
「今日のデザートは、キウイのレアチーズケーキです!」
彼女たちのティータイムはダイニングテーブルではなく、同じダイニングにあるソファーの前にあるテーブルで楽しんでいる。
百花が綺麗に盛り付けたケーキをテーブルに並べる。
タルト生地の上にレアチーズを乗せ、さらにその上にゼリーでキウイを固めた二層のチーズケーキだ。
飾り付けに生クリームをくるくると可愛く絞って、ブルーベリーとミントをそっと添えている。
「わ〜! おいしそう!」
あとは飲み物を用意するだけ。
アルコールの飲めないふたりの真夜中ご馳走のティータイム部門のお供は、もちろんお茶。
百花が濃い目に淹れたブドウフレーバーの紅茶を氷で冷やし、シャンパングラスに注ぐ。
そこに炭酸水を注ぐと、紅茶と混じった炭酸がしゅわしゅわと弾けた。
「食後のティーソーダをお持ちしました」
お店みたいにテーブルにグラスを置く百花に、有紗は面白そうに笑った。
「見た目はスパークリングワインみたいでオシャレだね」
ケーキのゼリーもティーソーダも、部屋の照明でキラキラと輝いて見える。
ソファーで寝ているトロロを真ん中に挟んで、百花と有紗は早速ティータイムを堪能し始めた。
「なんとなくシャンパンの香りがする?」
口元にシャンパングラスを運んだ有紗が問いかけると、百花はケーキを口に運びながら答えた。
「ブドウフレーバーのティーソーダだからだと思うよ」
「ふふ。うちらお酒飲めないけど、グラスと香りだけだとお酒飲んでるみたいだよね」
「面白いでしょ?」
「うん。そう言うの、遊び心があって好きだよ」
香りを堪能した有紗がティーソーダを口にすると、楽しそうに微笑んだ。
「ん~! エナドリ以外の炭酸を飲むのは一週間ぶりだよ。なんだろう、健康的な味がする……」
「気のせいだって。エナドリもほどほどにした方が良いよ」
「別に毎日飲んでるわけじゃないし。超頑張る必要があるときだけだし」
「平日の日中はカップ麺にエナドリ生活でしょ? そのうち身体壊すよ……」
「でも今の仕事、好きなんだよねー。理不尽で嫌なこともいっぱいあるけど」
「私も、カフェをやってよかったと思う」
「ケーキも美味しい〜! 甘酸っぱくて、このお茶に合うね」
有紗はケーキを食べながら、しみじみと呟いた。
「こうやって美味しいご馳走が食べられるのってさ、モモがカフェをやるって選んだからなんだよね」
「カフェを選ばなかったら、結婚した方が良いかなって思っていたし」
「それにルームシェアだってしてなかったでしょ?」
有紗は首を傾げた。
「……後悔してない?」
問いかけは、二年前に百花が有紗に相談した、カフェをやるか結婚するかの二択の件だった。
「してないよ。感謝してる」
「私さ。モモに色々言ったことで後悔させちゃう選択をさせちゃったかなって、気になってたんだよね」
「あのとき有紗自身が言っていたじゃない。私の気持ちと相談して決めなよ、って」
百花はグラスを傾けながら続けた。
照明に照らされて、グラスは輝いている。
百花の瞳も、前向きでキラキラとしていた。
「選んだのは私の意思で、叶えたかった夢のためだから。後悔なんてしてないよ」
繁盛しているわけじゃないけど、失敗したわけじゃないしね。と付け加えつつ、お茶を飲んだ。
「そっか、それならよかった!」
有紗はにっこりと微笑むと、安心してケーキを食べるのを再開した。
数分後、ティータイムが終わるとふたりはソファーにもたれ掛かった。
「ごちそうさま! 今日も美味しかったよ〜!」
「どういたしまして」
「お腹いっぱい食べると眠くなるよね〜」
「朝早くて夜遅いからね」
ふたりは寝ているトロロをもふもふしながら、うとうとし始める。
「ふぁー……。やっぱり食後はもふもふだよね」
「片づけは明日にしよう」
「そうしよそうしよ。明日明後日は休日だからね」
ご馳走でたっぷりと癒されたあとは、もふもふに埋もれての心の潤いタイムの始まり。
「休日は沢山休むぞ~!」
「頑張るのは月曜日から!」
好きなことに頑張る女子ふたりは、慌ただしい毎日の疲れをこうして金曜日のご馳走ティータイムで癒して、翌週の仕事に備えるのでした。
~了~
待ち受けているのはお風呂タイム……ではなく。
「待ってました~! 食後のティータイム~!」
ご馳走会第二部のティータイムが始まった。
「待ってたのはお茶よりもケーキでしょ」
「そうとも言う」
「今日のデザートは、キウイのレアチーズケーキです!」
彼女たちのティータイムはダイニングテーブルではなく、同じダイニングにあるソファーの前にあるテーブルで楽しんでいる。
百花が綺麗に盛り付けたケーキをテーブルに並べる。
タルト生地の上にレアチーズを乗せ、さらにその上にゼリーでキウイを固めた二層のチーズケーキだ。
飾り付けに生クリームをくるくると可愛く絞って、ブルーベリーとミントをそっと添えている。
「わ〜! おいしそう!」
あとは飲み物を用意するだけ。
アルコールの飲めないふたりの真夜中ご馳走のティータイム部門のお供は、もちろんお茶。
百花が濃い目に淹れたブドウフレーバーの紅茶を氷で冷やし、シャンパングラスに注ぐ。
そこに炭酸水を注ぐと、紅茶と混じった炭酸がしゅわしゅわと弾けた。
「食後のティーソーダをお持ちしました」
お店みたいにテーブルにグラスを置く百花に、有紗は面白そうに笑った。
「見た目はスパークリングワインみたいでオシャレだね」
ケーキのゼリーもティーソーダも、部屋の照明でキラキラと輝いて見える。
ソファーで寝ているトロロを真ん中に挟んで、百花と有紗は早速ティータイムを堪能し始めた。
「なんとなくシャンパンの香りがする?」
口元にシャンパングラスを運んだ有紗が問いかけると、百花はケーキを口に運びながら答えた。
「ブドウフレーバーのティーソーダだからだと思うよ」
「ふふ。うちらお酒飲めないけど、グラスと香りだけだとお酒飲んでるみたいだよね」
「面白いでしょ?」
「うん。そう言うの、遊び心があって好きだよ」
香りを堪能した有紗がティーソーダを口にすると、楽しそうに微笑んだ。
「ん~! エナドリ以外の炭酸を飲むのは一週間ぶりだよ。なんだろう、健康的な味がする……」
「気のせいだって。エナドリもほどほどにした方が良いよ」
「別に毎日飲んでるわけじゃないし。超頑張る必要があるときだけだし」
「平日の日中はカップ麺にエナドリ生活でしょ? そのうち身体壊すよ……」
「でも今の仕事、好きなんだよねー。理不尽で嫌なこともいっぱいあるけど」
「私も、カフェをやってよかったと思う」
「ケーキも美味しい〜! 甘酸っぱくて、このお茶に合うね」
有紗はケーキを食べながら、しみじみと呟いた。
「こうやって美味しいご馳走が食べられるのってさ、モモがカフェをやるって選んだからなんだよね」
「カフェを選ばなかったら、結婚した方が良いかなって思っていたし」
「それにルームシェアだってしてなかったでしょ?」
有紗は首を傾げた。
「……後悔してない?」
問いかけは、二年前に百花が有紗に相談した、カフェをやるか結婚するかの二択の件だった。
「してないよ。感謝してる」
「私さ。モモに色々言ったことで後悔させちゃう選択をさせちゃったかなって、気になってたんだよね」
「あのとき有紗自身が言っていたじゃない。私の気持ちと相談して決めなよ、って」
百花はグラスを傾けながら続けた。
照明に照らされて、グラスは輝いている。
百花の瞳も、前向きでキラキラとしていた。
「選んだのは私の意思で、叶えたかった夢のためだから。後悔なんてしてないよ」
繁盛しているわけじゃないけど、失敗したわけじゃないしね。と付け加えつつ、お茶を飲んだ。
「そっか、それならよかった!」
有紗はにっこりと微笑むと、安心してケーキを食べるのを再開した。
数分後、ティータイムが終わるとふたりはソファーにもたれ掛かった。
「ごちそうさま! 今日も美味しかったよ〜!」
「どういたしまして」
「お腹いっぱい食べると眠くなるよね〜」
「朝早くて夜遅いからね」
ふたりは寝ているトロロをもふもふしながら、うとうとし始める。
「ふぁー……。やっぱり食後はもふもふだよね」
「片づけは明日にしよう」
「そうしよそうしよ。明日明後日は休日だからね」
ご馳走でたっぷりと癒されたあとは、もふもふに埋もれての心の潤いタイムの始まり。
「休日は沢山休むぞ~!」
「頑張るのは月曜日から!」
好きなことに頑張る女子ふたりは、慌ただしい毎日の疲れをこうして金曜日のご馳走ティータイムで癒して、翌週の仕事に備えるのでした。
~了~