秋になり文化祭の準備が始まった。
俺のクラスはメイドカフェで、男は何人か女装させられる。
クラスの女子の趣味だ。男の娘が好きみたいで…
女顔の俺は指名された。特に抵抗は無い。
綺麗な格好やメイクは実は少し興味がある…

 開店準備が始まり、女子にヘアメイクをしてもらっている。

「乃亜ちゃん、めっちゃ似合う!」

「ガチで女の子みたい。乃亜ちゃんリップだけで
めちゃくちゃ可愛いな!うちらより。
肌も白くてきめ細かいし、透明感凄いよ」

「えへへ。そうかな?」

「真行寺なら俺いけるわ!男だけど!」

「乃亜ちゃんがお前なんか相手にするわけないし、
ジロジロ見ないであっち行って」

 クラスの男子を追い払ってくれる頼もしい女子。

「出来た!完璧!乃亜ちゃん着替えて来て!」

「うん。ヘアメイク綺麗にしてくれてありがとう」

 更衣室でメイド服に着替えて、
鏡の中の自分を見て驚いた。

「メイクって凄いな〜」

 長めにアイラインを引けば猫目が協調され、
赤いリップは小悪魔のようだ…

「ガチャ」

 誰かが更衣室に入ってきた。遼だ。
遼は近づいてきて俺を凝視した。

「やっ、やばいな…かっかわいい…
誰にも見せたくないくらい…」

「女みたいでしょ?ちょっと恥ずかしい…」

「性別関係無く可愛いから仕方ない…
細い首にこの細いウエストは、
女の子と間違えられるだろうな…」

 手でウエストを両手で捕まれ、
そして腰に手を回して抱き寄せられた。

「ちょっと、遼、誰か来たらどうするの?」

「鍵かけた」

「フフッ」

「さっき男子にもかわいいって言われていたな〜
嫌だな〜もうこの姿誰にも見せたくない…
小さな箱に閉じ込めておきたい…」

「遼たまに怖いって、フフッ、なに〜これヤキモチ?」

「他の男に笑いかけないで。
かわいいんだから。この鈍感さん」

 遼の人差し指が俺のおでこにツンと触れた。
(少女漫画みたい…おでこツン…)

「遼も女の子に囲まれていたじゃん!
腕の筋肉触らせていたし…サービスしすぎだろ!」

「なに?乃亜もヤキモチ?触っていいよ。ほら」

 遼は、Tシャツをめくり俺の手をその中にいれ、
手のひらを腹筋に触れさせた。

「ちょっとダメだって…カッカタイ…
綺麗なモナカみたい…本当彫刻みたいだな…」

「彫刻?フフッ乃亜、俺の筋肉好きすぎだろ!
この筋肉は乃亜のものだぞ」

「ありがとう、ご馳走様、フフッ」

 遼は、指で俺の顔をなぞり始めて、熱い目で見つめてきた。

「どうした?そんなにこのメイク気に入った?」

「うん…お前の瞳も唇も身体も全部守りたい」

 そう言って、顔を近づけて優しくキスをした。

「遼、リップついちゃっている。セクシーだな。フフッ」

 俺は親指で遼の唇についたリップを拭った。
(遼、恥ずかしそうにしていてかわいい…)

「ドンドン。乃亜ちゃん着替えたら出てきてね〜」

「いこっか」

 2人で外へ出た。