『生きるって、変わっていくことだからね。ちゃんと残しておかないと』
 
 余命わずかと宣告された君は、僕にそう教えてくれた。
 夜空を彩る花火のように、短い命の中で僕の日々を彩ってくれた君は眩しくて、気づいた頃には惹かれていて。
 気持ちのまま素直に移りゆく表情、通話越しの弾んだ声、手を握った時の暖かさや柔らかさ、そんな君が生きている瞬間を僕は小説として、この世界に残すと決めた。
 それが小説家という僕の夢と、生きた証を残すという君の願いを叶える形だったから。
 君の命が終わるその日まで、僕はすべての時間を費やしてでも君を描こう。だって君は——
 
 ——僕にとっての希望そのものなのだから。