秀一郎さんと連絡先を交換したものの、最初に「よろしく~」とパンダが跳ねているスタンプが送られてきて以来、とくになにもなかった。
 SNSにはいろんな人からDMがくる。だいたいが、「初めまして」とか、「どこ住み?」「会いたいです」から、いきなりエッチを誘ってきたりするのもいる。下半身の画像が送られてきたりする。はじめのうちは、こんなふうにいろんな人がいるのか、と興味深かったけれど、結局エッチなことでしか繋がることはできないのかもしれない、と思った。 部屋のベッド 寝転んで、スマホを眺めながら考えていた。
 謎だ。
 そして、聞くことはできなかった。そもそもあの場で塚原先生と一緒にいたっていうのが、怪しいじゃないか。
 学校で塚原先生に会うたびに、じっと見てしまう。が、秀一郎さんのことを聞くことはできなかった。そもそもそんなふうにくだけた感じのやりとりなんてしたこともなかった。
 とにかく、謎が多すぎる。
 そもそもなんで秀一郎さんが学校前で待ち伏せしていて、しかもまた遊ぼうなんていうのか。おもちゃ扱いされているのかもしれない。
 あれをネタに脅そうとしているとか?
 しかし、あの人がたとえばなにか金とか身体を要求するようには思えなかった。
 まったくそういうものに興味なさそうだったし、そもそもそうだったらまわりくどい。
 塚原先生に相談すべきか迷ったけれど、それも違うような気がした。
 なんとなく、これから人生は大きくかわるような気持ちがあった。
 どう変わるのかはわからないけれど。
 ベッドの下にある雑誌に手を伸ばした。
 アメフト雑誌だ。「高校インターハイ特集号」去年の号で、表紙はガッツポーズをしている豊がいた。
 ぱらぱらとグラビア写真を眺めながら、ぼくは下着のなかに手を入れた。