fin.



黒瀬は朝に強い。

けど、熱には弱かった。


「ずっと好きならもっとその感じ出せよな、おまえ。あの夢見てなきゃ、下手したら一生知らなかったぞ」

「……言ってる」

「はー? いつだよ」

「お前が夢、見た日」

「はあ? 夢見た日は夢でしか───」

「……」

「……、はっ? おまえ、」



黒瀬は基本無表情。
声だって棒読みだ。

けど、


「……ふはっ」


意外とすげえ、優しく笑う。