突如として、授業の終わりを知らせるチャイムの音がする。
 いつとはなしに授業が終わっていたようだ。見渡すと、クラスメイトはもうほとんど教室から出ていた。
 焦ってしまい、無作法に用具を机からかき集めていく。
 それほど大荷物ではないこともあり、凛は机の中も特に確認せずに音楽室から立ち去った。
 普段は家柄、時間に厳しい凛。だが、考え事をしていたため、今日だけ教室を出るのが遅れてしまったのだ。
 教師も特にそれ以上叱りつけることはなく、凛にしては珍しいな、といった表情をしている。

 どうしたものか。鍵をかけるとき自分の荷物に違和感を抱いたが、原因もわからない。
 その後は特に気に留めることなく学校生活を過ごした。