周りに言われなくても凛はずっと自分の顔が嫌いだった。
物心付いたときから弟は側にいて、自分と弟の容姿の差異を無理にでも分からせられてしまう。
いつも周りにチヤホヤされるのは自分ではなく、弟で。
一緒に居れば家庭内でも外でも肩身が狭い。
自己評価が下がるのも必然的。誰からもありのままの姿を愛されない凛は世界の誰よりも醜いのだと高校生になった今でも思う。
そんな中で唯一、凛が堂々としていられたのが、小さい頃から家で習ってきた日本舞踊をしているときだった。
世間は踊りや舞をしている人に対して、優れた容姿を求めないのだ。
それどころか、年配の人は「あなたの所作は今まで見たことがないくらいに美しい」と感激して褒めてくれた。人に美しいと言われたことがなかった凛はこれが喜ばしくて、大きな意欲へと効果を働いたのである。
けれども、加藤家は日本舞踊の家元。何れ弟も日本舞踊を習うことになる。
弟が日本舞踊を始めてから、少しの間もなく凛の立場は消え失せ、弟に奪われていった。
実力も才能も圧倒的に凛の方が上だったのにも関わらず。
誰も凛の演技を見なくなった。
日本舞踊に優れた容姿を求めるようになった。
マスクを外したくない。人と目を合わせたくない。顔を見られたくない。
何故なら、他人に悪く思われてしまうから。弟と比べられてしまうから。
つまり、凛は今朝の出来事のようなことが積み重なり、いつの間にか通院を必要とするほど重度の醜形恐怖症を患っていたのだ。
物心付いたときから弟は側にいて、自分と弟の容姿の差異を無理にでも分からせられてしまう。
いつも周りにチヤホヤされるのは自分ではなく、弟で。
一緒に居れば家庭内でも外でも肩身が狭い。
自己評価が下がるのも必然的。誰からもありのままの姿を愛されない凛は世界の誰よりも醜いのだと高校生になった今でも思う。
そんな中で唯一、凛が堂々としていられたのが、小さい頃から家で習ってきた日本舞踊をしているときだった。
世間は踊りや舞をしている人に対して、優れた容姿を求めないのだ。
それどころか、年配の人は「あなたの所作は今まで見たことがないくらいに美しい」と感激して褒めてくれた。人に美しいと言われたことがなかった凛はこれが喜ばしくて、大きな意欲へと効果を働いたのである。
けれども、加藤家は日本舞踊の家元。何れ弟も日本舞踊を習うことになる。
弟が日本舞踊を始めてから、少しの間もなく凛の立場は消え失せ、弟に奪われていった。
実力も才能も圧倒的に凛の方が上だったのにも関わらず。
誰も凛の演技を見なくなった。
日本舞踊に優れた容姿を求めるようになった。
マスクを外したくない。人と目を合わせたくない。顔を見られたくない。
何故なら、他人に悪く思われてしまうから。弟と比べられてしまうから。
つまり、凛は今朝の出来事のようなことが積み重なり、いつの間にか通院を必要とするほど重度の醜形恐怖症を患っていたのだ。