「先輩の考え方好きです」

「うん?」

「キラキラした笑顔も、困った人がいたら放っておけない優しいところも、でもちょっと意地悪な所も好きです」

「ふふっ、そっかぁ。……ねぇ今、絶対可愛い顔してるでしょ」

顔が見たいと言われ、そっと体を離されて、慌てて涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を見られないよう、必死に服の袖で拭っていたら赤くなるからダメと怒られた。

先輩に両手をどかされてしまい、遮るものがなくなった顔を真正面から見られる。

必死に逸らそうとするが、右を見ても左を見ても、どこまでも追いかけてくる。

「見ないでくださいぃ…」

「ヤダ」

「や、ヤダって言われても」

そんな子供みたいな。

「もうイチくんの可愛いとこ、絶対に見逃したくないから」