その途端、僕たちは泣き笑いを浮かべながら、お互いの温もりを分け合うように強く抱きしめ合った。
今までの不安も何もかも吹き飛ぶくらい強く。
ただ相手への好きだけが残るくらい…、強く。
「ずっと一緒に居ようね」
「はい…っ」
こんな幸せなことが自分の身に起こるだなんて、想像もしていなかった。
半ば無意識に押し込めていた気持ちが、ようやく自由になって相手に伝えられる。
(あぁ…、これが先輩の言う〝平等の奇跡〟か)
今、完全に理解した。
“誰にとっても”、好きな人に好きだと伝えられる、好きな人が好きだと言ってくれる、それは特別で奇跡。
普通と奇跡は、反対のようでいて同じなんだ。
恋や愛は、普通(平等)の奇跡。