膝の上に置いた手を優しくとられて、縋るような顔で僕の答えを待っている先輩のことを、やっぱり可愛いと思った。

僕より背が高くて、大人っぽくて包容力がある。

そんな波瀬先輩が、告白の答えが欲しくて、不安そうな、でも微かな期待が滲んだ目で僕を見上げている。

キュンと、心が鳴った。

僕はこれまで、その音を聞こえないふりをして無視してきた。

だって自覚してしまったら、もう近づけないと思ったから。

すぐに真っ赤になる頬は止められないし、それを先輩に気づかれてしまったらって怖かった。

…でも、これからはその必要はないかもしれない。

先輩の今の表情を見たら、心から僕を想ってくれてるんだってわかるから。


僕の答えは、ずっと前に決まってた。

初めて先輩の太陽に照らされた笑顔を見た時から。

「僕も、波瀬先輩のことが好きです」