天罰が下ったのか。その夜は激しい腹痛に襲われ中々寝付くことができない。
 看護師に頼んで入れてもらった点滴もほとんど意味をなしえていなかった。
 腹を押さえながら呻き続けて数十分。
 不意に星夜のベッドのカーテンがおもむろに開く。
 始めは夜風で開いたのかと疑ったが、そこには紛れもない隣のベッドの彼が立っていたのだ。いきなりここに来た彼に驚いてしまい、痛みを忘れてベッドから落ちそうになる。

「海谷くんって言うんだね、いきなりごめんね。お話ししてもいいかな」

 声を聞き、星夜はギクッとなる。もしかしたら真昼から事情を聞いたのかもしれない。怒られるのか、それとも説教でもされるのか。
 身体をビクビクさせながら何度も頷く。
 了承を得た彼はベッドに腰を掛け、星夜のお腹を労るように擦る。急に近づいた距離に戸惑ってしまうが、昼の出来事を思い出せば、うつつを抜かす気にもなれない。
 彼は星夜の痛みが和らいだことを確認すると、口を開きぽつりぽつりと過去を紡いでいった。