『皆悩みを抱えています。助けはすぐ隣に。抱え込まないで』
道徳の授業で流れるビデオ。
隣の君がおもむろに席を立つから何となく追いかけてみた。
誰もいない倉庫の中で
「助けはすぐ隣に、それはどこ? 私はどこに行けば皆と同じになれる?」
そう言いながら涙を流す君の痛みを、僕はまだ知らない。



家は、安らぎの場所。
本当にそう?

「早く帰りたーい」
学校の休み時間、皆はため息と一緒にその言葉を吐くけど私はそうは思わない。
別に殴られてるわけでもネグレクトも受けてない。
ただ、自分の機嫌によってドアを閉じるその音が変わる人がいるだけ。