この恋に終わりが来ること分かっていた。だけどいつしか、もしかしたらこの恋はちゃんとした形で始まって、そして幸せなゴールを迎える、そんなふうに思いだした。出会ったときはこんな未来になるなんて思わなかった。普通に出会って普通に恋をして、彼の秘密を私は知らなかった。

 私、中本萌、二十三歳。
 失恋をした。結婚できると思っていた。愛されていると思っていた。離婚しないんじゃなくてできないんだと思っていた。だけど全部全部違った。私は結婚できなかった。

 この恋に終わりが来るかと怯えた夜があった。だけど、この恋はそもそも始まってなんかいなかった。

 朝から何もやる気が出ない。起きて立ち上がることもできない。空は憎たらしいほどに青いことを知っている。だからカーテンは開けない。眩しくて直視できないから。希望に輝く空の青が、今は憎いくらいに眩しいから。

 暗い部屋の中涙浮かべる。そんな日々が続いた。仕事は辞めた。こんなことでって思われるのはわかったけど、それでも何もする気にならなかった。

 失業手当はあと少し、本格的に立ち上がらないと先に進むことはできない。それはわかっているんだけど、もがきながら這いつくばりながら、それでもなかなか一歩が踏み出せない。

 そんなときだった。

 なんとなく灯り代わりにつけたテレビ、笑い声が響く箱の中、人の笑い声を聞いて初めていつしか自分が笑えなくなっていたことに気づく。だから避けていたテレビ。だけどなんとなくスイッチを入れ、ぼんやりと眺めた。

 そこで目に入った、眩しいほどの笑顔で踊る五人グループを。

 すぐに目が離せなくなり、テレビのボリュームを上げた。

「どうもありがとうございました」

 だけど、すぐに彼らはお辞儀をしてステージから消えた。

 私はすぐにスマホを開いた。通知が溜まっている。それはまるで自分を現実に引き戻すカウントダウンのようで、怖くて開くことはできないままだった。

 そんな通知を横目に私はすぐに検索をした。アイドルグループ「HOPETOYS」確かこんな感じの名前だった。右上にテロップが出ていたからすぐにスマホに残した。

 そこにはさっき笑顔で歌って踊っていた五人の顔写真と簡単なプロフィールが載っていた。

 真ん中にいたのは、絶対的エースのキョウ二十三歳、メンカラは赤。身長百七十六センチB型。
 彼から向かって右にいたのは末っ子キャラのハルヒ二十歳、メンカラピンク。身長百六十四センチ、O型。
 そのまた右にいたのは最年長チームのまとめ役ユウキ二十六歳、メンカラ緑。身長百七十四センチ、A型。

 そしてセンターのキョウの左側、リア恋キャラのマナト二十三歳、メンカラオレンジ。身長百六十七センチ、A型。
 
 残るはひとり、私が目を奪われたいちばん左、穏やかな性格で兄組と弟組を繋ぐ架け橋となっているソウタ二十五歳、メンカラはブルー。身長百七十一センチ、B型。

 私はすぐに彼らのことを徹底的に調べた。暗闇だとよく見えない。カーテンを開けて陽の光を部屋に取り込む。思った以上に空は青い。青が好きだと感じた。ソウタくんの青だから。なんだかすごく単純で自分でも笑ってしまう。

 だけど、今日からいちばん好きな色は青。