私と咲良はビールを片手に、話はさらに弾む。普段はあんまり飲まないビールだけどさらに美味しい。
お互いにリア充生活を満喫していることに喜びを感じていた。

「本当に楽しいよね、リア充って感じ。友達との旅行や推し活、自分の時間を大切にできるって最高だよ」

「そうだよね、私たちは自分自身を大切にしているからこそ、充実した毎日を過ごせているんだと思う」
と咲良が微笑んで答えた。
「次の旅行はどこにしようかな? 咲良のおすすめの場所はある?」

咲良は考え込んだ後で、
「最近、温泉旅行に行ってみたいな。ずっとツアーで。それはそれでいいけどたまにはゆったりとね。温泉ならリラックスしてゆっくり過ごせるし、美味しい食事も楽しめるから。どうかな?」
と提案してくれた。
確かにそうである。推し活は楽しいが疲れる。多幸感に満ち溢れるけども。

「いいね! 温泉旅行なら私も大好きだし、リフレッシュできるはずだよ。調べてみよう!」

私たちは早速スマホを取り出し、有名温泉地の情報を検索し始めた。良さげな温泉地を見つけたら、即座に予約を入れる。二人の予定をすり合わせて。
それができるのも独身ならでは。



私は咲良によく玲子のことを話す。ビールが進んで尚更饒舌になる。
「彼女の子供たちも私の子供のように愛おしいし、成長を見守ることも私の役割だと思ってるんだ。だから、自分に子供がいなくても幸せなんじゃないかって思ったりもするんだ」
咲良も
「結婚しなくても、子供がいなくても幸せになれるんだよね」
と。
「私たちは自由な時間を楽しんで、推しのライブに行ったり友達と旅行に行ったりできる。それが私たちの幸せなんだと思う」

「そうだよね。結婚や子育てが全てではないし、それぞれの人生スタイルがあるんだ。私たちは自分の道を進んで、自分自身を大切にすることが大事なんだよ」

私たちは互いの考えを尊重しながら、自由な生き方を肯定し合う。だって咲良だけだもん、理解してくれるの。




次の日、ライブを楽しみその夕方に東京を出て帰路に戻る。
次の日が仕事だから早く帰らなくては。やむなし。東京駅でお土産をたくさん買う。お弁当も買ってコンサートの余韻に浸りながら咲良と喋って食べて気づいたら寝ていた。


そうこうして楽しくて忙しい二日間の休みはあっという間に終わりなのである。

私は夜に家へ帰りお風呂に入って寝る。家族はもうすでに寝ている。
起こさないように過ごすのはもうお手のものである。

家族のいる友達はそれを羨ましいと言う。泊まりでどこかで行って家族が寝ている時に帰ることなんて結婚してからしたことがない。したとしても申し訳ない気持ちでいっぱいになると。私にはそれはなかった。
なぜ申し訳ない気持ちになるのだろう。そしてなぜ家族たちのことを考えてしまうのか、家族たちも快く旅行に行かせないのか。
まぁそんなこと知らんこっちゃないけども。



次の日、仕事から帰って(よく仕事できるもんだとよく言われるけど……)玲子の家を訪れた。蓮と凛はそれぞれ小学校、幼稚園を終えて私が来るのを待ってたのか勢いよく玄関まで出迎えてくれた。

「リミちゃん! 東京楽しかった?」
「おみやげは?」
先にお土産かい! 私は東京名物を手渡すと2人は大喜び。その笑顔に癒される。玲子もありがとうーと言いながら私を部屋に入れてくれてジュースを出してくれた。


「お姉ちゃん、旅行の準備は進んでる?」
蓮がワクワクしながら尋ねてきた。

「まだだよー、昨日帰ってきたばかりだし」
「僕らはもうできてるんだよ。あとはお菓子だけだよ」

蓮と凛は喜びに満ちた表情。そんなに嬉しいのか。私も子供だったら旅行は待ち遠しくって楽しみで張り切っていただろう。

「子供たちがこんなに楽しみにしているなんて」
「毎月のように行ってるのにね。うちら家族でも行ってるのにどれだけリミが好きなんだか」
「うれしいよ、わたしゃ」
かといって我が家に不満があるわけでは無い。いつも友達や子持ちの家族と旅行しているとそう思われるけどそうでも無い。家族でも旅行する時もあるし、弟も全く帰ってこないわけでも無いしらみんなそれぞれ独立、自立しているからね。

私も楽しみにしてる。蓮と凛と一緒に素敵な思い出を作りたい。

私たちは旅行の計画について話し合いながら夜ご飯を作る手伝いをし、楽しいひと時を過ごした。たまに私はこの家で夜ご飯を食べる。これだから周りから色々言われるんだけども。

玲子1人で偏食が多い子供2人の世話を見るのは大変だと言うのはわかっているから手伝っている。
そして一緒に食べることも楽しいからね、賑やかだしね。

ある程度下拵えできたから4人でスーパーに行くことに。
旅行のお菓子を買う、その約束も守らなくちゃ。まだ週末なのに今から準備、子供はとにかくおやつが好きなのだ。そして私はその喜ぶ姿を見るのが嬉しいのだ。


そしてスーパーに向かう。やはりこのスーパーになるのか、と思いながらも着くと子供たちははしゃいでお菓子売り場へ行く。
「数字二つまでだよ!」
つまり99円以下、であるのだがここ最近の物価高で少し前までは数字二つまでで買えたものも数字三つになってしまう。世知辛い世の中だ。

早くお菓子だけ買って帰ろう。今日はこの子達にお菓子を買うだけなのだ。