「――んんっ」
目を覚ますと全身が金属バットで殴れつけられたかのように痛んだ。
頭はぼうっとして、意識がいつまでもはっきりとしない。
激痛の走る身体を何とか起こすと隣には驚いた顔で固まる母さんの顔があった。
「……母さん?」
「蒼唯!起きたのね!すぐにお医者さんが来るからね」
「……ここは?」
「ここは病院よ。あなたは交通事故に会って意識不明の重傷でずっと寝てたのよ!……本当に目覚めて良かった」
母さんは僕の手を取って涙を流した。
そういえば、僕は紫音の病室を訪ねた帰り道でトラックに……。
だんだん思い出してきた。
そうだ、僕は事故にあったんだ。
全身が痛いのはそのせいか。
記憶が鮮明になっていくにつれて、あることに気がつく。
「待って、今ずっと寝てたって……」
「えぇ。あなたは三ヶ月も寝たきりだったのよ」
その言葉を聞いて血の気が引いた。
「ごめん、行かなくちゃ」
「え?」
「紫音のところ」
紫音と約束したばかりなんだ。
紫音の記憶が全て無くなってしまうまで僕が隣に居るって。
こんなところにいつまでもいる訳にはいかない。
無理矢理にでも身体を動かして紫音の病室まで行かないと。
点滴が刺さっているけど、点滴ごと動かせば問題なく行ける。
今はとにかく紫音の所へ――
「待って!」
母さんは病室を歩いて出ていこうとする僕の手を掴んで止めた。
掴まれた手や引っ張られた肩からは激痛が走った。
「何をするの?!今は行かないといけないところが……」
「そんな身体で行ってどうするの!それに……紫音ちゃんはもう……」
「紫音がどうしたの?!」
話しずらそうにする母さんを見て、埒が明かないと思い再度踵を返して出ていこうとあると母さんから衝撃の発言が聞こえた。
「紫音ちゃんはもう二週間も前から意識がないの!」
「えっ……そんな……は?」
僕は絶望で膝から崩れ落ちた。
「僕は……約束したんだ……紫音と一緒に居るって……」
「蒼唯……」
「くそっ!」
僕は自分の脚に思っきり握った拳を打ちつけた。
手にも足にも激痛が走ったけど、それでも僕への罰には全く足りない。
何が一緒に居るだ!
結局、僕は好きな人との約束すら叶えることができないのか?!
何度も何度も僕は拳を自分の脚に打ちつけた。
「蒼唯!もうやめて!」
振り下ろしていた手を母さんが両手で必死に握って止めた。
「どうしましたか……蒼唯君?!起きたのね!すぐに先生を呼んで!」
看護師さんが部屋に着くなり、辺りがバタバタと忙しそうに動き始めた。
「紫音ちゃんのことは残念だけど、私には蒼唯のことも大切なの。だから、今は自分の身も大事にしてちょうだい……」
涙ぐむ母さんを見て、僕は力なく振り上げた手を降ろした。
もう、僕には涙を流す気力すらなかった。
紫音を一人にしてしまった。
きっと記憶がどんどん無くなっていって、一人じゃ不安だったはずなのに。
僕はこれからいったいどうすればいいっていうんだ。
目を覚ますと全身が金属バットで殴れつけられたかのように痛んだ。
頭はぼうっとして、意識がいつまでもはっきりとしない。
激痛の走る身体を何とか起こすと隣には驚いた顔で固まる母さんの顔があった。
「……母さん?」
「蒼唯!起きたのね!すぐにお医者さんが来るからね」
「……ここは?」
「ここは病院よ。あなたは交通事故に会って意識不明の重傷でずっと寝てたのよ!……本当に目覚めて良かった」
母さんは僕の手を取って涙を流した。
そういえば、僕は紫音の病室を訪ねた帰り道でトラックに……。
だんだん思い出してきた。
そうだ、僕は事故にあったんだ。
全身が痛いのはそのせいか。
記憶が鮮明になっていくにつれて、あることに気がつく。
「待って、今ずっと寝てたって……」
「えぇ。あなたは三ヶ月も寝たきりだったのよ」
その言葉を聞いて血の気が引いた。
「ごめん、行かなくちゃ」
「え?」
「紫音のところ」
紫音と約束したばかりなんだ。
紫音の記憶が全て無くなってしまうまで僕が隣に居るって。
こんなところにいつまでもいる訳にはいかない。
無理矢理にでも身体を動かして紫音の病室まで行かないと。
点滴が刺さっているけど、点滴ごと動かせば問題なく行ける。
今はとにかく紫音の所へ――
「待って!」
母さんは病室を歩いて出ていこうとする僕の手を掴んで止めた。
掴まれた手や引っ張られた肩からは激痛が走った。
「何をするの?!今は行かないといけないところが……」
「そんな身体で行ってどうするの!それに……紫音ちゃんはもう……」
「紫音がどうしたの?!」
話しずらそうにする母さんを見て、埒が明かないと思い再度踵を返して出ていこうとあると母さんから衝撃の発言が聞こえた。
「紫音ちゃんはもう二週間も前から意識がないの!」
「えっ……そんな……は?」
僕は絶望で膝から崩れ落ちた。
「僕は……約束したんだ……紫音と一緒に居るって……」
「蒼唯……」
「くそっ!」
僕は自分の脚に思っきり握った拳を打ちつけた。
手にも足にも激痛が走ったけど、それでも僕への罰には全く足りない。
何が一緒に居るだ!
結局、僕は好きな人との約束すら叶えることができないのか?!
何度も何度も僕は拳を自分の脚に打ちつけた。
「蒼唯!もうやめて!」
振り下ろしていた手を母さんが両手で必死に握って止めた。
「どうしましたか……蒼唯君?!起きたのね!すぐに先生を呼んで!」
看護師さんが部屋に着くなり、辺りがバタバタと忙しそうに動き始めた。
「紫音ちゃんのことは残念だけど、私には蒼唯のことも大切なの。だから、今は自分の身も大事にしてちょうだい……」
涙ぐむ母さんを見て、僕は力なく振り上げた手を降ろした。
もう、僕には涙を流す気力すらなかった。
紫音を一人にしてしまった。
きっと記憶がどんどん無くなっていって、一人じゃ不安だったはずなのに。
僕はこれからいったいどうすればいいっていうんだ。