意識がなくなって、僕は夢を見た。
僕がまだ人の心を読めず、健気で素直な子供だった頃の夢だった。
有名な言葉で、自分はいつもしたことではなく、しなかったことにのみ後悔してきたというような意味の言葉があったけど、その逆で僕はいつも行動をしてしまったことに対してばかり後悔してきた。
そんな僕には人生で二つの大きな後悔がある。
一つ目は両親を離婚させてしまったこと。
昔から僕の両親はなにかと気が合わずに喧嘩することが多かった。
きっかけはいつもほんの些細なこと。
それこそ、例えばの話すらも思い出せないようなほどだ。
でも、毎日のようなに行われる喧嘩の積み重ねで、お互いの不満は募り、結局父さんと母さんは離婚した。
僕は母さんに引き取られたが、僕は父さんも母さんも大好きだった。
両親は喧嘩こそするが、当時の僕から見てもそう感じるほど良い親だった。
二人は決して僕の前で喧嘩をしようとしなかった。
偽ってでも、仲良しを演じていた。
ただ、小学四年生の勘のよさを侮ってはいけなかったというだけ。
だから、当時の僕は「僕さえいれば二人は喧嘩なんてしないんだ」とそう健気に思って、起きてから寝るまで、可能な限り三人で同じ時間を過ごすように気を配った。
僕がいれば二人は笑顔で過ごしてくれるし、僕がいれば喧嘩なんてしない。
そう信じて疑わなかった。
二人は僕の前ではとびきり優しかったから、そんな二人といる時間が僕は大好きだった。
しかし、人の感情というのは中々変わるものじゃない。
二人は僕が寝静まった後にお互い日中に溜まった不満をぶつけるように口論をし始めるようになり、間もなくして離婚した。
幸い、二人はお互いに手をあげたことは一度もなかったが、僕は心が痛かった。
僕は二人が一緒にいる時間を増やしてしまった。
二人の喧嘩の種を作っていたのは僕だった。
そう気がついた時は涙が流れて止まらなくなり、部屋に閉じこもって一日中泣いた。
僕を引き取ってくれた母は気を使ってしばらくはそっとしてくれた。
僕は何度も悔やんだ。
もし僕が二人の本当の気持ちを知ることができていたなら今もずっと三人で暮らせていたかもしれないのに。
そう願ってしまったのが僕の人生における二番目の後悔。
どこかの下世話な神様がその願いを叶えてしまったのだろう。
もう、遅いというのに。
その日から僕は心を読む力を手に入れた。
最初は特別な力が宿って僕は興奮した。
この力があればもうあのようなミスは犯さないで済む。
そう思っていた。
けど違った。待っていたのは地獄のような日々だった。
僕の意志に関係なく頭に響く心の声は汚れた本音や僻みに妬み、悪口ばかりだった。
そして、ある日ずっと親友だと思っていた『なつ君』という男の子の心の声を聞いてしまった。
いや、聞こえてしまった。
「ねぇ、僕も遊びに行ってもいい?」
そう僕が尋ねると彼は「もちろん!一緒に来いよ」と言ってくれた。
しかし、そう言う彼は裏で(こいつがいるとシラケるんだよな……)というのを聞いて以来、僕は人と関わるのが怖くなってしまった。
母さんや周りの大人、友達に心が読めると相談したことはあった。
けれど、みんな僕のことを信じず、遊び半分で聞いたり、僕をおかしな奴として認識するようになってしまい次第に僕はこの力を隠すようになり、人を嫌うようになった――
僕がまだ人の心を読めず、健気で素直な子供だった頃の夢だった。
有名な言葉で、自分はいつもしたことではなく、しなかったことにのみ後悔してきたというような意味の言葉があったけど、その逆で僕はいつも行動をしてしまったことに対してばかり後悔してきた。
そんな僕には人生で二つの大きな後悔がある。
一つ目は両親を離婚させてしまったこと。
昔から僕の両親はなにかと気が合わずに喧嘩することが多かった。
きっかけはいつもほんの些細なこと。
それこそ、例えばの話すらも思い出せないようなほどだ。
でも、毎日のようなに行われる喧嘩の積み重ねで、お互いの不満は募り、結局父さんと母さんは離婚した。
僕は母さんに引き取られたが、僕は父さんも母さんも大好きだった。
両親は喧嘩こそするが、当時の僕から見てもそう感じるほど良い親だった。
二人は決して僕の前で喧嘩をしようとしなかった。
偽ってでも、仲良しを演じていた。
ただ、小学四年生の勘のよさを侮ってはいけなかったというだけ。
だから、当時の僕は「僕さえいれば二人は喧嘩なんてしないんだ」とそう健気に思って、起きてから寝るまで、可能な限り三人で同じ時間を過ごすように気を配った。
僕がいれば二人は笑顔で過ごしてくれるし、僕がいれば喧嘩なんてしない。
そう信じて疑わなかった。
二人は僕の前ではとびきり優しかったから、そんな二人といる時間が僕は大好きだった。
しかし、人の感情というのは中々変わるものじゃない。
二人は僕が寝静まった後にお互い日中に溜まった不満をぶつけるように口論をし始めるようになり、間もなくして離婚した。
幸い、二人はお互いに手をあげたことは一度もなかったが、僕は心が痛かった。
僕は二人が一緒にいる時間を増やしてしまった。
二人の喧嘩の種を作っていたのは僕だった。
そう気がついた時は涙が流れて止まらなくなり、部屋に閉じこもって一日中泣いた。
僕を引き取ってくれた母は気を使ってしばらくはそっとしてくれた。
僕は何度も悔やんだ。
もし僕が二人の本当の気持ちを知ることができていたなら今もずっと三人で暮らせていたかもしれないのに。
そう願ってしまったのが僕の人生における二番目の後悔。
どこかの下世話な神様がその願いを叶えてしまったのだろう。
もう、遅いというのに。
その日から僕は心を読む力を手に入れた。
最初は特別な力が宿って僕は興奮した。
この力があればもうあのようなミスは犯さないで済む。
そう思っていた。
けど違った。待っていたのは地獄のような日々だった。
僕の意志に関係なく頭に響く心の声は汚れた本音や僻みに妬み、悪口ばかりだった。
そして、ある日ずっと親友だと思っていた『なつ君』という男の子の心の声を聞いてしまった。
いや、聞こえてしまった。
「ねぇ、僕も遊びに行ってもいい?」
そう僕が尋ねると彼は「もちろん!一緒に来いよ」と言ってくれた。
しかし、そう言う彼は裏で(こいつがいるとシラケるんだよな……)というのを聞いて以来、僕は人と関わるのが怖くなってしまった。
母さんや周りの大人、友達に心が読めると相談したことはあった。
けれど、みんな僕のことを信じず、遊び半分で聞いたり、僕をおかしな奴として認識するようになってしまい次第に僕はこの力を隠すようになり、人を嫌うようになった――