「――その後、俺は乃々を追いかけて教室へ戻ったところで蒼唯が教室に入ってきて今に至るって感じだ」
 大輝は自分が何か悪いことを言ったのではないかと青い顔をして僕らに事の顛末を話した。
 「でも、それだけじゃ乃々ちゃんがなんであそこまでやけになったのかが分からないかも……ブレスレットがきっかけになったのは何となく分かるんだけど」
 「蒼唯なら分かるんじゃねぇのか?!心を読める蒼唯なら!」
 大輝は僕の肩を両手で掴んだ。
 手には力が込められていて少し痛かった。
 大輝も今は落ち着きを保ててないんだ。特に乃々さんがああなったのは自分のせいだと思ってるから。
 「分かるよ。でも言えない」
 「はぁ?!」
 「どういうこと蒼唯?」
 二人は訳が分からないという顔で僕を見た。
 でも、申し訳ないけどこれは乃々さんに確認も取らずに言っていい内容じゃない。
 「乃々さんのためにこれは言えないんだ」
 そういうと納得はしてないものの、理解はしたと言った顔で二人は矛を収めた。
 「とりあえず、乃々ちゃんを追おう!」
 紫音は青い顔をした大輝の背中をバシッと叩いた。
 大輝はそれでようやくやるべきことが見つかったというようにいつもの勇ましい顔に戻った。
 「心を読んでどこに行ったかは検討がつく」
 「俺も心当たりがある。多分同じ所だ。急ぐぞ!」
 僕らはそのまま授業中の学校を抜け出した。
 僕らの欠席連絡は紫音が手を回しててくれたようで、四人分の欠席を先生に言ってもらうようにお願い済みらしい。
 僕にはそれを伝えてくれる友達も居ないからそれはありがたかった。
 道中で僕は一人、乃々さんにどうやって話しかけるべきがずっと悩んでいた。
 乃々さんの抱える悩みは僕が踏み入ってもいいのな怪しい程の大きな、そして深刻な悩みだ。
 どうやって、僕らは彼女に声をかけたらいいのだろう。
 そればかりを考えていた。