放課後のざわつく廊下を走り抜け、誰もいない階段を駆け上がる。
僕たちの教室がある四階の上、屋上へと続くドア。
一応鍵はかかっているが、誰でも開けることができる。
ただし外へ出た途端、中から鍵をかけられたらおしまい。
外に締め出され、戻れなくなる。
僕は前に聖亜にやられたことがあるから、それ以来屋上へ近づくことはなかった。
でも今日は関係ない。鍵をかけられたってかまわない。
二度と僕が、校舎に戻ることはないんだから。
右手で鍵を回す。静まり返った狭い空間に、カシャンッと冷たい金属音が響く。
力を込めて重い扉を押すと、ギイッという音とともに、目の前が一気に明るく開けた。
空が近い。校舎の中とは違う、ひんやりとした空気。
僕は体をぶるっと震わせたあと、ドアを閉め、一歩外へ踏み出す。
冬の真っ青な空に、白い雲が浮かんでいる。目の前に見えるのは、高いフェンス。
でもあのくらいなら、運動神経の悪い僕でも、なんとかよじ登れるだろう。
僕は足元にリュックを置き、一通の封筒を取り出した。
封筒の中の紙には、高校生になってから一年十か月、僕をいじめたやつらの名前が全員書いてある。
もちろん聖亜の名前も。
リュックのそばに封筒を並べると、ごくんと唾を飲み込んでから立ち上がる。
そしてフェンスに向かって足を踏み出したとき――。
「えっ!」
思わず声を上げてしまった。
だってフェンスを背に、人が立っていたから。
この学校の制服を着た、見たことのない男子生徒……。
「な、なんで……」
ドアの鍵は閉まっていた。だから外に人がいるはずはない。
いや、もしかして以前の僕と同じように中から鍵をかけられて、締め出されていたとか?
僕たちの教室がある四階の上、屋上へと続くドア。
一応鍵はかかっているが、誰でも開けることができる。
ただし外へ出た途端、中から鍵をかけられたらおしまい。
外に締め出され、戻れなくなる。
僕は前に聖亜にやられたことがあるから、それ以来屋上へ近づくことはなかった。
でも今日は関係ない。鍵をかけられたってかまわない。
二度と僕が、校舎に戻ることはないんだから。
右手で鍵を回す。静まり返った狭い空間に、カシャンッと冷たい金属音が響く。
力を込めて重い扉を押すと、ギイッという音とともに、目の前が一気に明るく開けた。
空が近い。校舎の中とは違う、ひんやりとした空気。
僕は体をぶるっと震わせたあと、ドアを閉め、一歩外へ踏み出す。
冬の真っ青な空に、白い雲が浮かんでいる。目の前に見えるのは、高いフェンス。
でもあのくらいなら、運動神経の悪い僕でも、なんとかよじ登れるだろう。
僕は足元にリュックを置き、一通の封筒を取り出した。
封筒の中の紙には、高校生になってから一年十か月、僕をいじめたやつらの名前が全員書いてある。
もちろん聖亜の名前も。
リュックのそばに封筒を並べると、ごくんと唾を飲み込んでから立ち上がる。
そしてフェンスに向かって足を踏み出したとき――。
「えっ!」
思わず声を上げてしまった。
だってフェンスを背に、人が立っていたから。
この学校の制服を着た、見たことのない男子生徒……。
「な、なんで……」
ドアの鍵は閉まっていた。だから外に人がいるはずはない。
いや、もしかして以前の僕と同じように中から鍵をかけられて、締め出されていたとか?