「あー! やっぱここにいた!」

 バンッと荒々しくドアが開いたかと思ったら、聞きたくもない声が聞こえてきた。

「捜したぞー、柚希くん!」

 僕の全身が凍りつく。ぞろぞろと集まってきたのは、クラスの連中だ。
 最近、僕に関わってくることはなかったのに。

「ほら、聖亜も早く来いよ」

 そしてそいつらの後ろから現れたのは、機嫌悪そうな顔つきの聖亜だ。

「ここだよここ! 心霊現象が起きたのは!」

 ひとりの生徒がそう言って、聖亜がさらに顔をしかめる。

「はぁ? こんなところでそんなもん、起きるわけねーだろ」
「いや、起きたんだよ! 柚希のリュックが急に浮かんで、こっちめがけて飛んできたんだって!」

 僕の隣でハルがくくっと笑う。もちろん聖亜たちには聞こえていないようだけど。

「それにこの前、聖亜がサボってた体育の時間も、勝手にボールが飛んできて」
「あと屋上の鍵をかけて締め出したときも、なぜかフツーに戻ってきたし」
「最近柚希のまわりがへんなんだ。絶対心霊現象だよ」
「んなもん、あるわけねーって」
「でもマジであいつのリュックが飛んできて……」
「だったらそれは……」

 聖亜がまっすぐ僕に向かってきた。そしていきなり胸元をつかみあげる。

「お前がやったんだろぉ!?」
「ち、ちが……」
「ふざけんな! お前がリュック投げたに決まっ……」

 ガシャン!

 そのとき屋上にフェンスを蹴りつける音が響いた。