『ユズと俺、今日から友達な!』

 あれは保育園に通っていたころ。
 泥だらけの手で僕の両手を握って、聖亜が言った。
 にかっとうれしそうに笑って。

 それから僕たちは『友達』になって、毎日ふたりで遊んだ。
 家が目の前だったから、小学校も一緒に通って。
 休み時間も離れることなく、帰ってからもふたりで公園に遊びにいった。

『よかったね、柚希。聖亜くんみたいな元気な子と仲良くなれて』

 小さいころからおとなしくて、人見知りだった僕。
 特徴のない顔つきに、小柄な体。得意なことも特になく、いるのかいないのかわからないような存在。
 母さんはそんな僕に、友達ができるか心配していたらしい。
 でも誰とでもはきはきしゃべれる聖亜が僕の友達になって、すごく喜んでいた。

 僕だって――聖亜といると楽しかった。
 やんちゃで、ちょっと危なっかしいところもあったけど、僕は聖亜が好きだった。
 特に近所の公園でバスケをしている聖亜を見ているときは、胸がわくわくした。
 大人用より少し低いミニバスケットのゴールに、ガンガンシュートを決めていく聖亜。
 僕には絶対できないことだったから、聖亜は僕にとって憧れの存在だったのだ。
 それなのに――。