ボールを弾ませ、ザッと土を蹴る。
 春風が吹き、桜の花びらが舞い落ちる。
 その中を、颯爽と駆け抜けゴールを目指す背中。
 空に向かって、高くジャンプした。
 手から離れたボールが、鮮やかにリングの間をくぐり抜ける。

 僕は眩しさに目を細めながら、その姿を見ていた。
 憧れと、愛おしさと、ちょっとの悔しさを胸に抱えて――彼の姿を目に焼きつけていた。