「何日間続いたとか、正直長すぎて覚えてないのよね……だから分かりやすく言うけど、年間ランキングで一位になったことはあるわ」
「ね、年間一位だと!? ふ……ふざけたことを抜かすな! それはいったい何の冗談だ!」
「冗談じゃないけど」
「ならば嘘か!」
どうしても冗談か嘘だと思いたいらしい。
サイダールは肩を震わせている。
「まあ、証明のしようがないし、嘘だと思うならそれでもいいわ」
「っ! そうだ、ほらな! 嘘に決まっている! この大噓付きがっ!」
「でも、少なくともあんたより強いと思うよ?」
「戯言も大概にしろ!!」
遂にサイダールが発狂する。
あたしの方が強いと言ったことで、琴線に触れてしまったのだろう。
「年間一位……! それを証明もできない愚か者風情が、この俺様よりも強いとほざくのか!」
「そう言われても、この世界で証明することなんてできないし……あ! それじゃあ、あたしのプレイヤー名なら知ってるかな」
良案だ。
あたしは【ラビリンス】で使用していたプレイヤー名をサイダールに教える。
すると、再度サイダールの顔色が変わる。
「……いや、違う。違う。嘘だ。それも嘘だ。貴様が奴の名を騙っているだけだ……そう、そうだ。そうに違いない」
サイダールの言い分も一理ある。名前を騙るだけなら自由だし。
とはいえ、ここまでやってもこの状態ってことは、サイダールは何を言っても初めから信じるつもりがないのだろう。つまり、この押し問答は無意味ってことだ。
「はあ……もういいよ。証明できないってことで」
「ふ、ふははははっ! ようやく認めたか! そうだ、貴様はただの一プレイヤーに過ぎないのだ! この俺様とは格が違うのだ!」
相手をするのも面倒くさいから、さっさと倒してフレアの拘束を解かないとね。
「……いや待て、ただの一プレイヤーにしては、おかしな点があるのを忘れていた」
とここで、サイダールが疑問を口にする。
「貴様は何故……レミーゼなのだ?」
眉を潜め、あたしの姿を観察する。
どこからどう見てもレミーゼ・ローテルハルクなのに、【ラビリンス】のプレイヤーであるあたしのことを、じっくりと……。
「貴様……まさか、転生先がレミーゼだったのか?」
「……黙秘権使います」
視線を逸らす。
けどすぐに戻した。元プレイヤーを相手に隙を見せるわけにはいかないからね。
「正直に答えろ!」
フレアの前で、あんまり詮索しないで欲しいんだけど、残念ながらサイダールは止まらない。
「この世界に来てからというも、俺様は他のプレイヤーと何度か遭遇したことがあったが、どいつもこいつも【ラビリンス】の初期アバターの姿をしていたぞ! だというのに、何故貴様はレミーゼなのだ! どう考えてもレミーゼに転生したとしか思えん!」
「……他のプレイヤー?」
サイダールの台詞に、あたしは目を開いた。
まさか、あたしやサイダールの他にも【ラビリンス】のプレイヤーが居るのか……それも一人や二人じゃなくて、もっとたくさん……。
「……ハッ!? ……分かった、分かったぞ! ……貴様ッ! レミーゼに転生したのではなく、成り済ましているのだな!!」
うっ、核心を突いてきた。
間抜けだと思っていたけど、思いのほか早く答えに辿り着いたようだ。
「間違いない! 俺様は目にしたことがあるぞ! アレは確か【ラビリンス】の専用掲示板のコメントをチェックしていたときだ! βテスターの固有魔法で、自由自在に姿形を変えることのできる者が……居るかもしれない、と……、……あ?」
そこまで言ったところで、サイダールは気付いた。
「た……確か、年間一位は……神出鬼没で、神隠しのような存在だと言われていて……本当の姿を見た者は、誰も居ない……それは固有魔法で姿形を変えることができるから……あ、あぁ……あああ……、ま、まさか、貴様が……あの【神隠し】だというのか……!?」
やっと、理解できたらしい。
あたしが年間ランキング一位の【神隠し】であることを……。
「ね、年間一位だと!? ふ……ふざけたことを抜かすな! それはいったい何の冗談だ!」
「冗談じゃないけど」
「ならば嘘か!」
どうしても冗談か嘘だと思いたいらしい。
サイダールは肩を震わせている。
「まあ、証明のしようがないし、嘘だと思うならそれでもいいわ」
「っ! そうだ、ほらな! 嘘に決まっている! この大噓付きがっ!」
「でも、少なくともあんたより強いと思うよ?」
「戯言も大概にしろ!!」
遂にサイダールが発狂する。
あたしの方が強いと言ったことで、琴線に触れてしまったのだろう。
「年間一位……! それを証明もできない愚か者風情が、この俺様よりも強いとほざくのか!」
「そう言われても、この世界で証明することなんてできないし……あ! それじゃあ、あたしのプレイヤー名なら知ってるかな」
良案だ。
あたしは【ラビリンス】で使用していたプレイヤー名をサイダールに教える。
すると、再度サイダールの顔色が変わる。
「……いや、違う。違う。嘘だ。それも嘘だ。貴様が奴の名を騙っているだけだ……そう、そうだ。そうに違いない」
サイダールの言い分も一理ある。名前を騙るだけなら自由だし。
とはいえ、ここまでやってもこの状態ってことは、サイダールは何を言っても初めから信じるつもりがないのだろう。つまり、この押し問答は無意味ってことだ。
「はあ……もういいよ。証明できないってことで」
「ふ、ふははははっ! ようやく認めたか! そうだ、貴様はただの一プレイヤーに過ぎないのだ! この俺様とは格が違うのだ!」
相手をするのも面倒くさいから、さっさと倒してフレアの拘束を解かないとね。
「……いや待て、ただの一プレイヤーにしては、おかしな点があるのを忘れていた」
とここで、サイダールが疑問を口にする。
「貴様は何故……レミーゼなのだ?」
眉を潜め、あたしの姿を観察する。
どこからどう見てもレミーゼ・ローテルハルクなのに、【ラビリンス】のプレイヤーであるあたしのことを、じっくりと……。
「貴様……まさか、転生先がレミーゼだったのか?」
「……黙秘権使います」
視線を逸らす。
けどすぐに戻した。元プレイヤーを相手に隙を見せるわけにはいかないからね。
「正直に答えろ!」
フレアの前で、あんまり詮索しないで欲しいんだけど、残念ながらサイダールは止まらない。
「この世界に来てからというも、俺様は他のプレイヤーと何度か遭遇したことがあったが、どいつもこいつも【ラビリンス】の初期アバターの姿をしていたぞ! だというのに、何故貴様はレミーゼなのだ! どう考えてもレミーゼに転生したとしか思えん!」
「……他のプレイヤー?」
サイダールの台詞に、あたしは目を開いた。
まさか、あたしやサイダールの他にも【ラビリンス】のプレイヤーが居るのか……それも一人や二人じゃなくて、もっとたくさん……。
「……ハッ!? ……分かった、分かったぞ! ……貴様ッ! レミーゼに転生したのではなく、成り済ましているのだな!!」
うっ、核心を突いてきた。
間抜けだと思っていたけど、思いのほか早く答えに辿り着いたようだ。
「間違いない! 俺様は目にしたことがあるぞ! アレは確か【ラビリンス】の専用掲示板のコメントをチェックしていたときだ! βテスターの固有魔法で、自由自在に姿形を変えることのできる者が……居るかもしれない、と……、……あ?」
そこまで言ったところで、サイダールは気付いた。
「た……確か、年間一位は……神出鬼没で、神隠しのような存在だと言われていて……本当の姿を見た者は、誰も居ない……それは固有魔法で姿形を変えることができるから……あ、あぁ……あああ……、ま、まさか、貴様が……あの【神隠し】だというのか……!?」
やっと、理解できたらしい。
あたしが年間ランキング一位の【神隠し】であることを……。