企画会議の時にひと騒動あった……?
話に水を差さないよう、私はうんうんと相槌を打つ。
「柚乃先輩、同業者なんでわかるとは思うんですけど、企画会議って定期的にあるじゃないですか?毎回、プライベートの時間を削って、みんな企画を作成してくるんですよ。それこそ命がけで」
カチャカチャとビーフシチューをすくい、会話の合間に口に運ぶ瞳。
食べても飲んでも、一度ヒートアップしたら冷める事を知らないようで、飲み込むまで会話が止まっても、表情は同じまま。
「それが、その最新号の企画会議の時に、それはもう、ありえない事が起きたんですよ!何だと思います?」
「えっ?……うーん、何だろう?」
「えー、答えてくださいよー、もうー。……でも、柚乃先輩も驚くと思いますよ。泥棒です、泥棒。信じられない事に企画泥棒がいたんですよ」
「あー……それは確かに信じられないね」
「ですよね?!」
企画泥棒……確かにそれは信じられない。
私が同調した事がホッとしたのか、瞳は更にヒートアップする。
「編集に携わるなら、プライドを持って命を懸けて企画を持ってきなさいよって感じですよ!先輩もそうですよね?!」
「うん……うん。それはもちろんだよ」
瞳の目がマジになっていて、かなり怖い。
だけど彼女の話で、企画会議の前に何があったのか大体理解できた。
自分の名を売るために、汗水流してまとめ上げてきた企画を平気で奪うという話を、新人の頃に聞いた事があった。
うちの社でも昔、横行していたようだけど、そんな不正がバレるのは時間の問題で、正直者がバカを見ないようにと、企画会議に関しては本当に徹底していると思う。
我が社がブラックじゃなくて本当に良かったけれど、他社ではまだまだ横行しているというのは、綾音先輩から世間話程度に未だに聞く事がある。
おそらく、七海は今回企画を盗まれてしまったのだろう。
だから、インタビュアーの名前が違う人だったし、企画会議の結果について私に報告する事が出来なかったんだと思う。
きっと、七海は泣き寝入りしたんだ。
……そうだとしたら、気付かないで企画会議の結果について何度も聞いてしまった事に罪悪感がわいてくる。
話に水を差さないよう、私はうんうんと相槌を打つ。
「柚乃先輩、同業者なんでわかるとは思うんですけど、企画会議って定期的にあるじゃないですか?毎回、プライベートの時間を削って、みんな企画を作成してくるんですよ。それこそ命がけで」
カチャカチャとビーフシチューをすくい、会話の合間に口に運ぶ瞳。
食べても飲んでも、一度ヒートアップしたら冷める事を知らないようで、飲み込むまで会話が止まっても、表情は同じまま。
「それが、その最新号の企画会議の時に、それはもう、ありえない事が起きたんですよ!何だと思います?」
「えっ?……うーん、何だろう?」
「えー、答えてくださいよー、もうー。……でも、柚乃先輩も驚くと思いますよ。泥棒です、泥棒。信じられない事に企画泥棒がいたんですよ」
「あー……それは確かに信じられないね」
「ですよね?!」
企画泥棒……確かにそれは信じられない。
私が同調した事がホッとしたのか、瞳は更にヒートアップする。
「編集に携わるなら、プライドを持って命を懸けて企画を持ってきなさいよって感じですよ!先輩もそうですよね?!」
「うん……うん。それはもちろんだよ」
瞳の目がマジになっていて、かなり怖い。
だけど彼女の話で、企画会議の前に何があったのか大体理解できた。
自分の名を売るために、汗水流してまとめ上げてきた企画を平気で奪うという話を、新人の頃に聞いた事があった。
うちの社でも昔、横行していたようだけど、そんな不正がバレるのは時間の問題で、正直者がバカを見ないようにと、企画会議に関しては本当に徹底していると思う。
我が社がブラックじゃなくて本当に良かったけれど、他社ではまだまだ横行しているというのは、綾音先輩から世間話程度に未だに聞く事がある。
おそらく、七海は今回企画を盗まれてしまったのだろう。
だから、インタビュアーの名前が違う人だったし、企画会議の結果について私に報告する事が出来なかったんだと思う。
きっと、七海は泣き寝入りしたんだ。
……そうだとしたら、気付かないで企画会議の結果について何度も聞いてしまった事に罪悪感がわいてくる。