彼女……笹井瞳は高校の時の部活の1年後輩で、地元でも家が近かったからよく覚えている。
実家に帰った時、瞳も東京の大学に進学したという話は聞いていた。
私の卒業した大学と別の大学だったし、特に近くではなかったから今まで会う事はなかったけれど、この大都会でまさかこんな風に何気ない日に駅前で再会する事もあるのだと、正直驚いてしまった。
ほぼ毎日使っている駅なのに、初めてこんな風に会うなんてね。
「東京の大学を出て、そのまま就職したって聞いてたんですが、まさかこんなところで会うとは思わなかったです!」
「それはこっちのセリフだよ。本当、びっくりした」
「先輩、これから時間あります?ご飯食べに行きませんか?」
そう言って、瞳はニッコリと笑った。
その笑顔は高校の時と変わらず、可愛らしい。
今日はひとりでいたくなかったし、同郷の後輩と一緒なら気が紛れると思い、私は大きく頷いた。
「えー、ここ、私もよく来てますよ。全然会わないものですね」
夕飯の場所に選んだのは、元々行こうと思っていたコーヒーショップ。
どうやら瞳もこのお店をよく利用しているらしい。
同じお店を利用しても会わないのなら、たくさんの人が利用している駅でだって気が付かないのも当たり前か。
私も瞳もこの店お勧めのビーフシチューのセットを注文した。
「柚乃先輩はお付き合いされてる人、いるんですか?」
「え、何で?」
「だって、地元にいた頃より綺麗になってるから、彼氏さんのおかげなのかなと思ったんで」
綺麗になったという言葉は素直に嬉しい。
東京に出てきて数年たつし、七海と一緒にいたからメイクやファッションにも目を向ける事ができたんだろうけど。
「いないよ。変わらず推し活三昧」
「え、先輩、まだドリプリを推してるんですか?」
「当たり前でしょ。もう生活の一部だし」
私の言葉に瞳がフフッと笑った。
……色々とあって、推しが本当に生活の一部に入ってきてるんだけど、そんな事は絶対に言えないし。
「瞳は?彼氏いるの?」
「いますよー。入社して出会った人なんですけどね。付き合ってもうすぐ二年ですかね」
「高校の時の彼は?」
「いつの話をしてるんですか。そんなのとっくに別れてますよ。高校卒業する時にはもう話もしてなかったし」
実家に帰った時、瞳も東京の大学に進学したという話は聞いていた。
私の卒業した大学と別の大学だったし、特に近くではなかったから今まで会う事はなかったけれど、この大都会でまさかこんな風に何気ない日に駅前で再会する事もあるのだと、正直驚いてしまった。
ほぼ毎日使っている駅なのに、初めてこんな風に会うなんてね。
「東京の大学を出て、そのまま就職したって聞いてたんですが、まさかこんなところで会うとは思わなかったです!」
「それはこっちのセリフだよ。本当、びっくりした」
「先輩、これから時間あります?ご飯食べに行きませんか?」
そう言って、瞳はニッコリと笑った。
その笑顔は高校の時と変わらず、可愛らしい。
今日はひとりでいたくなかったし、同郷の後輩と一緒なら気が紛れると思い、私は大きく頷いた。
「えー、ここ、私もよく来てますよ。全然会わないものですね」
夕飯の場所に選んだのは、元々行こうと思っていたコーヒーショップ。
どうやら瞳もこのお店をよく利用しているらしい。
同じお店を利用しても会わないのなら、たくさんの人が利用している駅でだって気が付かないのも当たり前か。
私も瞳もこの店お勧めのビーフシチューのセットを注文した。
「柚乃先輩はお付き合いされてる人、いるんですか?」
「え、何で?」
「だって、地元にいた頃より綺麗になってるから、彼氏さんのおかげなのかなと思ったんで」
綺麗になったという言葉は素直に嬉しい。
東京に出てきて数年たつし、七海と一緒にいたからメイクやファッションにも目を向ける事ができたんだろうけど。
「いないよ。変わらず推し活三昧」
「え、先輩、まだドリプリを推してるんですか?」
「当たり前でしょ。もう生活の一部だし」
私の言葉に瞳がフフッと笑った。
……色々とあって、推しが本当に生活の一部に入ってきてるんだけど、そんな事は絶対に言えないし。
「瞳は?彼氏いるの?」
「いますよー。入社して出会った人なんですけどね。付き合ってもうすぐ二年ですかね」
「高校の時の彼は?」
「いつの話をしてるんですか。そんなのとっくに別れてますよ。高校卒業する時にはもう話もしてなかったし」