「神崎マリエ……?誰?」
「七海ちゃんの記事を引き継いだ人?……いや、でも、引き継いだとしても七海ちゃんの名前も表記されるとは思うんだけど。だってインタビューをしたのは七海ちゃんでしょう?」
「インタビューもそうですが、記事の文面も七海ですよ。私、スイーツ食べながら七海がインタビューをした物をノートにまとめて、文章を起こしてるのを見ましたもん」
「そうなの?よく覚えてるわね」
「覚えてますよ。七海、珍しく気合いが入っていたんで。……この特集、各スイーツの文章の始まりがポエムチックじゃないですか。実は、これ私が提案したんですよ」
「柚乃が?意外なんだけど」
「テーマが恋する……なんで、各スイーツの冒頭分はポエム入れてもいいんじゃないかなって」
テーマごとのスイーツの文章をチェックしながら、私は経緯を綾音先輩に説明する。
うんうんと頷きながら先輩も文章を目で追ってくれる。
「ビターな恋。優しく接してくれた彼が、ある日彼女と寄り添うように歩いているのを見てしまった……そんなようなほろ苦い経験をした事はありませんか?……これ、私が考えてます」
「しれっと他社の雑誌の手伝いを暴露しないの。……うーん、七海ちゃんの名前を掲載できない理由があったとか?」
そんな理由があるとしたら、亡くなったからとしか考えられない。
でも、その理由でインタビュアーの名前の記載ができなくなる事ってある?
だって、読者にはその記事を担当した人が生きているのかどうかなんて、関係なくない?
「うーん……」
「七海ちゃんが亡くなった事が原因……じゃないわよね」
「……どうなんでしょう。七海が亡くなった事は、上司である編集長しか知らなかったんで」
「そうなの?……じゃあ、一体、何があったのかしら。……まあ、どんな経緯があったのか、私たちがここで話していても仕方ないけどね」
確かに綾音先輩の言う通り、何があったのかここで話していたって、他社の事だし何もわからない。
編集長の田辺さんに聞けば、わかるかな?
力になれる事があれば何か連絡をくださいって言っていたし、聞いても大丈夫だろうか。
……でも、事情があるとはいえ、内部事情を編集長が教えてくれるかはわからない。
田辺さんは七海が病死したって思っているし。
「……とりあえず、七海ちゃんの分まで柚乃はしっかり頑張ってね。割とセンスある案だと思うし、今度はうちでその力を発揮してもらうからね」
サンドウィッチのフィルムをクシャッと握りつぶしながら、綾音先輩が微笑む。
「七海ちゃんの記事を引き継いだ人?……いや、でも、引き継いだとしても七海ちゃんの名前も表記されるとは思うんだけど。だってインタビューをしたのは七海ちゃんでしょう?」
「インタビューもそうですが、記事の文面も七海ですよ。私、スイーツ食べながら七海がインタビューをした物をノートにまとめて、文章を起こしてるのを見ましたもん」
「そうなの?よく覚えてるわね」
「覚えてますよ。七海、珍しく気合いが入っていたんで。……この特集、各スイーツの文章の始まりがポエムチックじゃないですか。実は、これ私が提案したんですよ」
「柚乃が?意外なんだけど」
「テーマが恋する……なんで、各スイーツの冒頭分はポエム入れてもいいんじゃないかなって」
テーマごとのスイーツの文章をチェックしながら、私は経緯を綾音先輩に説明する。
うんうんと頷きながら先輩も文章を目で追ってくれる。
「ビターな恋。優しく接してくれた彼が、ある日彼女と寄り添うように歩いているのを見てしまった……そんなようなほろ苦い経験をした事はありませんか?……これ、私が考えてます」
「しれっと他社の雑誌の手伝いを暴露しないの。……うーん、七海ちゃんの名前を掲載できない理由があったとか?」
そんな理由があるとしたら、亡くなったからとしか考えられない。
でも、その理由でインタビュアーの名前の記載ができなくなる事ってある?
だって、読者にはその記事を担当した人が生きているのかどうかなんて、関係なくない?
「うーん……」
「七海ちゃんが亡くなった事が原因……じゃないわよね」
「……どうなんでしょう。七海が亡くなった事は、上司である編集長しか知らなかったんで」
「そうなの?……じゃあ、一体、何があったのかしら。……まあ、どんな経緯があったのか、私たちがここで話していても仕方ないけどね」
確かに綾音先輩の言う通り、何があったのかここで話していたって、他社の事だし何もわからない。
編集長の田辺さんに聞けば、わかるかな?
力になれる事があれば何か連絡をくださいって言っていたし、聞いても大丈夫だろうか。
……でも、事情があるとはいえ、内部事情を編集長が教えてくれるかはわからない。
田辺さんは七海が病死したって思っているし。
「……とりあえず、七海ちゃんの分まで柚乃はしっかり頑張ってね。割とセンスある案だと思うし、今度はうちでその力を発揮してもらうからね」
サンドウィッチのフィルムをクシャッと握りつぶしながら、綾音先輩が微笑む。