「ごめんなさい、私……っ」

「……謝るくらいなら最初から話してよ。何をそんなに一人で抱え込んでるのよ……」


ほら、と綾音先輩はポケットティッシュを差し出してくる。

それを受け取って、私は涙をぬぐった。


「すみません……すみません」

「謝罪はいいって。悪い事をしたわけじゃないんだし。……それより、私が泣かせたみたいじゃん」

「あ、すみません!」


きょろきょろと周りを見回しながら慌てて涙を引っ込めると、綾音先輩は苦笑した。

私は一度、深呼吸をして姿勢を正すために座りなおした。


「……ちゃんと、隠しておくつもりでしたが、ダダ洩れでしたか?」

「隠したかったの?柚乃には無理無理。無理なんだから、話してみなよ。力になれるかどうかはわからないけれど、解決策を一緒に考える事くらいはできるから」

「綾音先輩……」


何で七海と同じ事を言うのだろう。

止めたはずの涙が、またじわじわと浮かんで零れそうになった。