間に合わなかっただろうって結論付けられてたけれど、最後にかけてきた電話に気付けていたら、七海は助かっていたかもしれない。

今でも、笑って一緒にいられたかもしれない……。


「……七海の事、本当に大事に思ってくれたんだな。ありがとう」

「お礼なんて言われる事はしてないし、できなかった。私は彼女を救えなかった」

「柚乃ちゃん、落ち着いてよ」


青柳さんが優しくそう言ってくれたから、肩で息をしながら唇を噛んだ。

涙が後から後から零れ落ちて止まらない。


「柚乃ちゃんは、ずっとその苦しみを抱えていたんじゃないの?……どこにも吐き出す事ができずにずっと」

「……」

「俺が全て受け止める。だからもう自分を責めるな。誰も柚乃ちゃんが悪いだなんて言ってないし、言わないよ」


そんな風に彼が優しい眼差しを向けるから、涙が止まらなくなった。

やり場のない悲しみを初めて、青柳さんの前で出してしまった。

初対面の相手だというのに……。