「……七海と最後に会ったのは?」


青柳さんから質問が飛んできて、ドキッとする。


「……七海が亡くなる前日に報告したい事があるって言われて、一緒に飲みに行って、そこで付き合ってる彼にプロポーズされて結婚するっていう報告を受けたの。その話をした時の七海は今までで一番幸せそうな顔だった。……青柳さんも知ってるよね?七海に三年ほど付き合ってる彼がいた事」

「知ってたよ。でも、どこの誰かまでは知らなかった。おじさんもおばさんも彼がいた事は知らなかったみたいだけど、柚乃ちゃんもどこの誰かまでは知らないって……?」

「申し訳ないけど、知らないの。……そっか、青柳さんも知らないか」

「……ちなみに、俺が最後に会ったのは正月過ぎてから。……七海の葬儀は丁度、ツアー中で地方にいて戻ってこれなくて」


青柳さんの声のトーンが少しずつ落ちていく。

芸能人は親の死に目にも会えないという話はよく聞くし、親ではなく幼馴染じゃ行きたくても行けなかっただろう。

やりきれない気持ちがこみあげてきて、私は窓の外に目をやった。