そんな事は、青柳さんの方がよく知っているのだろうけれど。


「幼馴染の話は……いつも、楽しそうにしてくれたの。そんな素敵な人がそばにいるのに、七海は別の人と結婚するんだって不思議に思ったんだよね」

「七海は俺を異性として見てなかったし、俺も七海を妹のように見てたからな」


七海も言ってたけど、お互いがそう思ってたんだ。


「……七海は幼馴染の事を優良物件って言ってたんだけどな」

「おい、物件扱いすんな」

「あ、すみません」


ポツリと独り言を言ったつもりだったのに、聞こえてしまっていた。

言葉の端々は横柄だけど、その奥に優しさを感じ取る事ができる。

ああ、やっぱりこの人は七海の幼馴染なんだなって、納得してしまったほど。

……そういえば、七海は私と幼馴染が気が合うって言ってたっけ。

あの時は、七海の幼馴染だし、普通に友だちになれそうって思ったけど……絶対に無理だ。

この人はお友達になっていい人じゃない。