……あれ、私、この人にちゃんと自己紹介したっけ?

色々な情報が一気に流れ込んできたから、ちゃんと名乗っていないような気がする。


「……改めて自己紹介しますが、黒澤柚乃です。七海と大学が一緒で、初対面の時からすごく気が合って、仲良くさせてもらってました。ただ、青柳さんの事は知らなかったのですが、幼なじみがいるという話は聞いてました」

「ガッツリ敬語」

「仕方ないじゃないですか。青柳さんは七海から私の話を聞いていたかもしれないですけど、私はあなたの話は一切聞いていなかったんで、初対面なのにタメ口なんか……」

「……慣れてってよ。こっちは親しみ感じてたのに、すげー壁作られてるみたいで嫌なんだけど?」

「……努力はします」


そんな事言われても、こっちはいきなり自分の推しが親友の幼馴染でしたって言われて、パニックになってるんだから。

ため息をついた後、再び私は口を開く。

彼が私に話を聞きたいように、私も彼に聞きたい事はたくさんある。

おじさんもおばさんも……そして、私も知らない事を知っていそうな気がしたから。