当たり前だけど、私は綾音先輩に七海の幼馴染がドリプリの青柳燈真である事は話していない。
今の今まで全く考えなかったけれど、綾音先輩がたてた二つ目と三つ目の仮説は仮説ではないのかもしれない。
「……っと。柚乃、私、そろそろ戻って仕事しないと。先に戻るから、柚乃はまだ少し休んでなさいよ?何かあったら呼ぶから」
「はい……」
腕時計を見て立ち上がる綾音先輩。
カップを手にしてラウンジを去っていく。
私はザワザワとする胸のざわめきを消そうと、カフェオレの入ったカップを手に取るが、すでに冷め切っていた。
グッと一気に飲んでも、ざわめきはなくならない。
テーブルにカップを置くと、カタッと音がした。
……とんでもない可能性を考えてしまった。
ドリプリの私の推しは、青柳燈真君だ。
七海が推していたのは、藤代奏多君。
まさかとは思うけど、七海の彼氏ってドリプリの藤代君だったんじゃ……?
七海に限って、青柳さんに限って……そんな事はないって思いたい。
青柳さんが七海に推しの藤代君を紹介して、二人が付き合い始めただなんて。
七海はそんな事をしない、青柳さんだってそんな事をしないって……信じたい。
だけど、状況だけなら怖いくらいに当てはまる。
彼の話をする時に名前を出さなかった事。
彼の写真を一切見せなかった事。
公式グッズとしての彼の写真はあるけれど、プライベートで撮ったとみられる写真が一切なかった事。
七海の家に彼の痕跡が一切なかった事。
プロポーズされたけれど、現実味がないという事。
……考えすぎなのかもしれない。
でも、ほんのちょっとでも可能性を考えられるのなら、潰しておきたい。
私は持っていた手帳を開いた。
連絡するとき、なるべく青柳さんの迷惑にならないよう、公開されているドリプリのスケジュールを手帳に書き込んでおいた。
ドリプリはツアーの真っ最中で、今日から北海道で三日間五公演が予定されている。
金曜日の今日は夜公演のみで、土日で昼夜二公演ずつだ。
今の今まで全く考えなかったけれど、綾音先輩がたてた二つ目と三つ目の仮説は仮説ではないのかもしれない。
「……っと。柚乃、私、そろそろ戻って仕事しないと。先に戻るから、柚乃はまだ少し休んでなさいよ?何かあったら呼ぶから」
「はい……」
腕時計を見て立ち上がる綾音先輩。
カップを手にしてラウンジを去っていく。
私はザワザワとする胸のざわめきを消そうと、カフェオレの入ったカップを手に取るが、すでに冷め切っていた。
グッと一気に飲んでも、ざわめきはなくならない。
テーブルにカップを置くと、カタッと音がした。
……とんでもない可能性を考えてしまった。
ドリプリの私の推しは、青柳燈真君だ。
七海が推していたのは、藤代奏多君。
まさかとは思うけど、七海の彼氏ってドリプリの藤代君だったんじゃ……?
七海に限って、青柳さんに限って……そんな事はないって思いたい。
青柳さんが七海に推しの藤代君を紹介して、二人が付き合い始めただなんて。
七海はそんな事をしない、青柳さんだってそんな事をしないって……信じたい。
だけど、状況だけなら怖いくらいに当てはまる。
彼の話をする時に名前を出さなかった事。
彼の写真を一切見せなかった事。
公式グッズとしての彼の写真はあるけれど、プライベートで撮ったとみられる写真が一切なかった事。
七海の家に彼の痕跡が一切なかった事。
プロポーズされたけれど、現実味がないという事。
……考えすぎなのかもしれない。
でも、ほんのちょっとでも可能性を考えられるのなら、潰しておきたい。
私は持っていた手帳を開いた。
連絡するとき、なるべく青柳さんの迷惑にならないよう、公開されているドリプリのスケジュールを手帳に書き込んでおいた。
ドリプリはツアーの真っ最中で、今日から北海道で三日間五公演が予定されている。
金曜日の今日は夜公演のみで、土日で昼夜二公演ずつだ。