そう思いながら時計に目をやると、すでに21時を過ぎている。


「お客様が来たみたいなので、私はそろそろ……」

「そんな、気を遣わないでゆっくりしていって?この時間にうちにお客様なんて……」


私がソファから立ち上がると、おばさんが慌てて止める。


「でももう21時過ぎてますし……」

「明日は早いの?」

「いえ、明日は出社遅いですけど……」

「じゃあゆっくりしていって?その方が七海も喜ぶと思うし、ね?」


そう言われてしまうと、帰りづらくなる。

とはいえ正直、おじさんとおばさんの事も心配だった。


「紅茶、入れなおすから座って待ってて?」

「あ、いえ、おかまいなく……」


おばさんがテーブルのティーカップを持って、キッチンの方へ行く。

その姿を見送った後、私は再びソファに座りなおした。

それとほぼ同時に、玄関に出ていたおじさんがリビングに戻ってきた。