「ありがとうございます」


彼女はそう言って、隣に座った。

その瞬間に、フワッと甘い香りがした。

……都会っ子は可愛いだけじゃなくて、それに合ったにおいもするんだ。

そんな事を考えていたら、


「食べます?」


可愛い声で、そう聞かれた。

彼女の手のひらには、新発売されたソフトキャンディが乗っている。


「あ、いただきます。……これ、新発売のクラシックレモン味ですよね?超気になってました」

「すごい!チェックしてたんですね!お菓子好きですか?それとも、CMキャラのドリプリのファン?」


ドリプリとは、国民的アイドルグループの『ドリームプリンス』の事。

ドリプリも好きだけど、大のお菓子好きの私はソフトキャンディのCMキャラに就任したドリプリのおかげで、コンビニやスーパーに行けば、このソフトキャンディを買ってしまう。


「どっちもです!」

「私も!うわー、同士に会えるなんて嬉しい!……あ、私は桐山 七海(ななみ)


急に同士に会えてテンションが上がる私と七海ちゃん。


「私は、黒澤柚乃(ゆの)です」

「柚乃ちゃんって言うんだ?柚乃って呼んでもいい?私の事は七海って呼んでね」

「う、うん!」