ソフトキャンディがきっかけで、友だちができると思っていなかったから、すごく嬉しい。

しかも、ドリプリのファンだっていう子に出会えるなんて、更に奇跡!


「私、入学式の日、熱出しちゃって参加できなかったんだよね。同じ高校の友だちもいないし、乗り遅れたーって焦ってたんだけど、勇気出して柚乃に声かけて良かった」

「私なんて、入学式に参加したのに、緊張して誰にも話しかけられなくて困ってたから、七海に声をかけてもらってホッとしてる」


七海の勇気に感謝。

私は人見知りで、とてもじゃないけれど勇気を出して知らない人に声をかけるなんてできそうになかったから。

私の返事を聞いて、七海はクスクスと笑う。


「柚乃に声をかけるのすごく勇気がいったんだよ?だって、柚乃、話しかけるなオーラ出してるんだもん」

「……えっ、本当?そんなつもりないんだけど」

「無自覚かー。クール系美少女がいるって思って、ドキドキしてたんだよ?」


クール系美少女?

そんな事、一度も言われたことないんだけど。

人見知りで緊張して、表情が凍り付いていたのかな?

昔から、緊張すると表情をなくすって言われてるから、気を付けないといけないなー。


「柚乃は家、近いの?それとも電車通学とか?」

「私、ひとり暮らしなんだ。実家は長野なの」

「ええ!長野出身なの?!めちゃめちゃ憧れるー!」

「七海は?電車通学?」

「ううん。通学に一時間半かかるから、ひとり暮らし」


電車で一時間半で実家に帰れるのに、ひとり暮らしなの?!

ひとり暮らししなくても、この大学じゃなくて、もっといい所あったんじゃない……?

私は一応、ここが第一志望だったけれど、ここと似たような学力の大学、東京ならいっぱいあるのに。

……とはいえ、人それぞれの事情があるわけだし、私がとやかく言える事じゃないけれど。


「ひとり暮らしに憧れて気合い入れてたら見事に入学式に熱出して、落ち込んでたんだ。柚乃は今、楽しんでる?」

「最初は楽しいなって思ったけど、ちょっと今、ホームシックかもしれない」

「え、早くない?!」


確かに七海の言う通り、まだ大学に入学して三日目だ。