「七海さんにはいつも助けられていました。人一倍熱心で……仕事だけじゃなく、実は妻へのプレゼントの相談も乗ってくれて……」


既婚者だった。

でも、ずっと裏切られてたって言ってたし、既婚者だったのを隠してプロポーズをした可能性もありえなくはない。

奥さんへのプレゼントの相談って、言ってるけど……。


「そうなんですね。七海はセンスが良くて、私の誕生日のプレゼントも毎回、趣味の合う素敵な物でした……」

「桐山さんはひとりひとりの事をよく見てくれていました。編集部でも後輩の育成にも精力的で……。なのに、急にお亡くなりになるなんて本当に残念でなりません」


田辺さんは少し涙ぐみながら声を震わせて話してくれた。

やっぱり職場でも七海は誰からも慕われていたようだった。

ご両親も体を震わせながら頭を下げている。

この様子だと、田辺さんは七海の彼氏ではなく、職場の上司と部下という関係で間違いなさそうだ。