だって、アリーナ席一番前のかなりの特等席だったから、もうこれ以上の幸せはないっていうくらい、テンション上がっちゃったんだもん。

燈真君からファンサービスすごいもらえたって、七海にどれだけ興奮気味に話したか……。

思い返すとものすごい恥ずかしい。

まさか、七海が燈真君の幼馴染だったなんて、思わなかったから……。


「ステージから見えたから知ってる。七海に、一緒に来た友だちすごいなって後から電話したら、熱狂的ファンだよって返されたしな」

「……見苦しい姿を見せてしまい、申し訳ありませんでした」

「あれはなかなか忘れられないな」


今すぐ記憶から消して欲しい。


「……でも、いつだって七海が柚乃ちゃんの事を話す時は楽しそうだったよ。だから聞いてる俺も楽しかったし、勝手に柚乃ちゃんの友だちと思えるくらいだった」

「……そっか」


私の知らないところで、そんな風に七海が話してくれていたのは素直に嬉しい。


「ちなみに七海は俺の事、どんなふうに言ってた?」

「え?……あー、確か……優しくてお人好しで涙もろいところあるけど、何事にも一生懸命って言ってました。だから、幼馴染が青柳さんだって聞いても、あまりピンとこなかったっていうか……」

「めちゃめちゃ失礼だな。俺にその人物像は当てはまらないって事?」

「失礼なのはお互い様だと思いますけど」

「あ、毛布の事気にしてる?それだったらごめん。普通に寒いだろうと思ったから置いといただけなんだけど」

「えっ?!毛布に包まってくれって言いましたよね?」

「うん、冗談」

「じょ……?!」

「だから、素直に頭から毛布をかぶって見えないように姿勢を低くしてくれてるから、すげー素直な人だなって思ってた」


悪びれる様子もなくケラケラと笑う青柳さん。

いや、優しくてお人好しで涙もろいって……疑われても仕方ないと思いますが?

……もう、失礼な人確定したので、これから敬語を使うのやめた!


「……素直だから、七海と仲良くなれたんだろうなって思うよ。柚乃ちゃん、素直すぎて少々危なっかしいって七海が言ってたから」

「……七海にはいつも助けてもらってた。私ばかり相談にのってもらってて、七海は一度も嫌な顔しないで一緒に真剣に悩んでくれて」


思い返せば、七海とのエピソードなんていくらでも出てくる。