だけど、ディスプレイには無数のヒビが入っていた。

昨日の夜に飲んだ時には、こんなのは付いていなかった。


「柚乃ちゃんの電話番号は七海の手帳に記入してあったから、電話をさせてもらったんだけど……」

「……そうだったんですね。でも、昨夜はこんな傷なかったです」

「自分で壊したのか……それとも、誰かに壊されたのか」


……そうだ。

おじさんは、『手首を切った』と言ったけど、『自殺した』とは言っていない。

自殺したのでなければ、誰かに殺されたっていう事?


「……多分、自殺だろうって警察の人には言われたけれど」

「……でもっ!七海には自殺する理由なんかないんです!だって、彼にプロポーズされたって報告してくれたし、今度の企画会議に企画書を提出するからって、企画書のために一緒にカフェ巡りしたし……七海は……」


おじさんに話せば話すほど、私は七海の何を知っていたのか自信がなくなってくる。