七海の死は、自殺と断定された。
大量に睡眠薬を摂取してから浴槽で手首を切ったけれど、死因は失血死ではなく溺死。
浴槽で寝てしまい、溺れた形となったようだ。
私に電話をしてきたのは、睡眠薬を摂取してからしばらくしてからで、たとえ私が電話に出ていたとしても、時間的に間に合わなかっただろうという事だった。
……って言われても、心が晴れるわけがない。
小さくて消えそうな声だったのは、薬が効いてきてそのまま……。
死ぬ直前の彼女の悲痛な叫びに応えられなかった自分が、ただ情けなくて悔しくて仕方がなかった……。
こんな事情もあり、葬儀は家族のみで行なわれた。
私も参列させてもらって、七海のお見送りをする事ができた。
他にも七海の会社の上司も参列していて、彼女の両親が挨拶をしている隣にいさせてもらった。
何か手掛かりになる事がつかめるかもしれなかったから。
彼の名は田辺紘一。
長身でスラッとした細身体系でパッと見、若く見えるけれどおそらく40代。
恋愛に年の差は関係ないから、七海の彼氏だった人かもしれないけれど……だとしたら、流石に顔色ひとつ変えずに七海の両親と言葉を交わすなんて、並大抵の人間には無理だと思う。
「桐山さんにはいつも助けられていました。人一倍熱心で……仕事だけじゃなく、実は妻へのプレゼントの相談も乗ってくれて……」
既婚者だった。
でも、ずっと裏切られてたって言ってたし、既婚者だったのを隠してプロポーズをした可能性もありえなくはない。
奥さんへのプレゼントの相談って、言ってるけど……。
「そうなんですね。七海はセンスが良くて、私の誕生日のプレゼントも毎回、趣味の合う素敵な物でした……」
「桐山さんはひとりひとりの事をよく見てくれていました。編集部でも後輩の育成にも精力的で……。なのに、急にお亡くなりになるなんて本当に残念でなりません」
田辺さんは少し涙ぐみながら声を震わせて話してくれた。
やっぱり職場でも七海は誰からも慕われていたようだった。
ご両親も体を震わせながら頭を下げている。
この様子だと、田辺さんは七海の彼氏ではなく、職場の上司と部下という関係で間違いなさそうだ。
大量に睡眠薬を摂取してから浴槽で手首を切ったけれど、死因は失血死ではなく溺死。
浴槽で寝てしまい、溺れた形となったようだ。
私に電話をしてきたのは、睡眠薬を摂取してからしばらくしてからで、たとえ私が電話に出ていたとしても、時間的に間に合わなかっただろうという事だった。
……って言われても、心が晴れるわけがない。
小さくて消えそうな声だったのは、薬が効いてきてそのまま……。
死ぬ直前の彼女の悲痛な叫びに応えられなかった自分が、ただ情けなくて悔しくて仕方がなかった……。
こんな事情もあり、葬儀は家族のみで行なわれた。
私も参列させてもらって、七海のお見送りをする事ができた。
他にも七海の会社の上司も参列していて、彼女の両親が挨拶をしている隣にいさせてもらった。
何か手掛かりになる事がつかめるかもしれなかったから。
彼の名は田辺紘一。
長身でスラッとした細身体系でパッと見、若く見えるけれどおそらく40代。
恋愛に年の差は関係ないから、七海の彼氏だった人かもしれないけれど……だとしたら、流石に顔色ひとつ変えずに七海の両親と言葉を交わすなんて、並大抵の人間には無理だと思う。
「桐山さんにはいつも助けられていました。人一倍熱心で……仕事だけじゃなく、実は妻へのプレゼントの相談も乗ってくれて……」
既婚者だった。
でも、ずっと裏切られてたって言ってたし、既婚者だったのを隠してプロポーズをした可能性もありえなくはない。
奥さんへのプレゼントの相談って、言ってるけど……。
「そうなんですね。七海はセンスが良くて、私の誕生日のプレゼントも毎回、趣味の合う素敵な物でした……」
「桐山さんはひとりひとりの事をよく見てくれていました。編集部でも後輩の育成にも精力的で……。なのに、急にお亡くなりになるなんて本当に残念でなりません」
田辺さんは少し涙ぐみながら声を震わせて話してくれた。
やっぱり職場でも七海は誰からも慕われていたようだった。
ご両親も体を震わせながら頭を下げている。
この様子だと、田辺さんは七海の彼氏ではなく、職場の上司と部下という関係で間違いなさそうだ。