気が合って、何でも話せる親友だと思っていた。

そう思っていたのは、私だけ……?


「実は、柚乃ちゃんにはもっと早く連絡していたんだ。でも、電話が繋がらなくて……」

「あっ!すみません!充電が切れていたみたいで、気が付かなかったんです。充電切れに気付いて、充電を始めて少ししてからおじさんから連絡がきて、慌ててここに来て……」

「じゃあ、七海から何か連絡はきてないか?充電が切れる前に、メッセージとか電話とか……」


おじさんに言われてハッとして、私はスマホを操作すると、不在着信がある事に気付いた。

ドクンと心臓が大きく揺さぶられる。


「……あ、ありましたっ!」


深夜二時過ぎ、七海からの着信だった。

おそらく、七海が電話をかけてきた後にバッテリーが切れてしまったのだろう。

パニックになりながらスマホを操作すると、留守電が残っている事に気付く。

震える指先でタップし、スピーカーにして再生を押した。


『……柚乃?私、もう駄目みたい』


電話をしてきた数時間前、居酒屋で笑い合っていた時の物とは全然違っていて、七海の声は震えていて小さく消えそうだった。

七海のそんな声は一度も聞いた事がなかったから、私はかなり動揺してしまった。


『……私、ずっと裏切られてたみたい。……柚乃、今までどうもありがとう……』


そこでメッセージは終わっていた。

ちょっと待って……七海は私に助けを求めてきたのに、私は充電が切れている事にすら気が付かないで、こんな時間までのんきに過ごしていたっていう事……?

力の抜けた手からスマホが滑り落ちるとともに、私も膝から崩れ落ちる。


「柚乃ちゃん!」

「七海が助けを求めてきたのに……気が付かなかった……私が……私が七海を……っ!」


どんなに後悔しても取り返しがつかない。

頭を抱えながらその場に突っ伏した。

おじさんが私の肩を掴むけれど、私は体を震わせて謝罪の言葉を口にする事しかできなかった。

彼女の悲痛な叫びに応えられなかった。

電話をかけてきた時に私が気付いていれば、七海は死なずに済んだかもしれないのに……っ!


「違う、柚乃ちゃんのせいじゃない!悪いのは、七海を裏切った奴だ!」


おじさんの大きな声で体の震えが止まる。