私の写真が貼ってあり、どこでどう調べたのか、私の詳細な情報も書かれていた。

七海が燈真君へ送った遺書のようなメッセージには『親友』というワードだけが記されているだけだった。

おじさんもおばさんも、小学校の時に七海がいじめにあってから、私と出会うまで親しい友人がいた話をした事がないって言っていた。

それを燈真君が聞いたとしたら、憎悪の対象は私だと思っても仕方がない。

私を好きだって言ってくれた事、ありえないと思いつつも本当は嬉しかった。

でも、全て嘘だった。

きっと、私の気持ちを自分に向かせた後で、七海が捨てられたのと同じように私を捨てるつもりだったのだろう。

それが青柳燈真が私に近づいてきた理由。

燈真君がミルクティーを好む話は今まで聞いた事がない。

私がミルクティーを好きな事を知って、いつ家に来てもいいように準備をしてた物なんだろうな。

憎悪の相手が好む物が家にあるって、どんな気持ちだったんだろう。

……残念でした。

なかなか自分になびかないから、相当焦ったんだろうなって思う。

普通の子だったら、国民的アイドルと出会ったら後先考えずに飛び込んでいただろうけれど。

全てが終わって、まだ気持ちが変わってなかったら返事をしてもいいかって私が言った時に、燈真君の表情が歪んでいたのはこういう理由だったからだ。

……これから先はもう燈真君を……彼だけでなく、ドリプリを推せなくなっちゃったな。

憎悪の相手に応援されていたって気持ちが悪いだけ。

ソフトキャンディのクラシックレモン味、結構好きだったんだけど、もうこれも買えないな……。


『あなたの思い出は?』


不意にタブレットのパスワードの質問を思い出して、ハッとする。

七海は親友との一番の思い出をクラシックレモンと答えていた。

もしかして……?

私は慌ててパソコンケースからタブレットを取り出した。

起動すると、パスワード画面が表示される。

『クラシックレモン』と入力をしてエンターキーを押すと、今まではじかれていたタブレットが開いた。

七海のスマホのバックアップはタブレットと同期されていたようで、画像がたくさんあった。

その中に、辰巳さんと七海が並んでいる写真もあった。