「ところでこの歌、二番で完結していないから、三番が必要ね。どうするつもり?」
 痛いところを突かれたと思った。
「わかりません。この旅が終わらないと書けないような気がします」
 頼りない言葉を吐き、また叱られそうだと思ったが、そうはならなかった。
「そう、まあ、それで良いと思う。どんな歌詞になるのか楽しみね。ところで私、曲の方については何も言わなかったけど何か考えはあるの?」
「いいえ、今のところ全く」
「ふ~ん、全くねえ」
 奈々さんは少し考えてからアドバイスをくれた。
「そう。それならば、沖縄風のメロディーにしてみたらどうかしら?歌詞の雰囲気にも合うと思うわ。純粋な沖縄音階にしなくても沖縄らしさは出せると思うわ。三線の伴奏も似合いそうね」
 そこまで言って奈々さんは確認を入れた。
「たぶん、純君はコンピューターに音符打ち込んで鳴らしたりできるよね?」
「はい、やれます」
「それならば、本物の三線での録音は無理にしても、コンピューターを使えば、それらしい音は出せるはずよ。純君なら頭に浮かんだメロディーを楽譜にするのはそれほど難しくはないはずだから、メロディーさえできれば後は楽ね」