僕が答えると、奈々さんはティッシュペーパーを取り出した。そして、その上に砂粒を集めると綺麗に畳んで、それを僕にくれた。
「おみやげに持って返るといいわ」
「ありがとうございます。大切にします」
「何を大袈裟なことを言っているの。たかだか砂粒よ」
 奈々さんは、あきれたように言うと流木の方に戻っていった。僕はもらったものをとりあえず短パンのポケットにしまって奈々さんの後を追った。

 木陰の流木の所にたどり着くと、奈々さんは三線のケースを流木の上に乗せた後、ブルーシートを四分の一位に畳み、その上に三線のケースを置き直した。そして流木に腰を下すと僕に声を掛けた。
「じゃあ、ここらは三線タイムね。私の右側に座って」
「はい」
 僕は言われたとおり奈々さんの右側に座った。奈々さんはケースから三線を取り出すと糸を巻いた。僕は奈々さんの何気ない仕草をじっと見つめていた。
「じゃあ、歌おうね」
「はい」
 僕が答えると、奈々さんはイントロを弾き始めた。もはや馴染み深くなった「安里屋ユンタ」だった。歌の部分に入ると僕も奈々さんと声を合わせた。
 
 歌が終わると奈々さんが僕の方を見た。